警察官を目指す人たちに犯罪被害者の置かれる状況や心情などについて理解を深めてもらおうと、殺人事件で息子を亡くした父親が講演をしました。講演を行ったのは2010年10月に神戸市北区で息子の将太さん（当時16）を殺害された父親の堤敏さんです。

将太さんは、知人と会っていたところを男に突然刃物で刺されて殺害され、堤さんら両親が情報提供を呼び掛け続けてきました。そして、発生から10年10カ月が経った2021年8月、事件当時17歳だった愛知県の男（29）が逮捕されました。堤さんは、犯罪被害者の思いを知ってもらおうと、毎年、大学生などを対象に兵庫県警が開くインターンシップに協力していて、4日は、将太さんとの思い出や、事件当時から現在に至るまでの心境について語りました。

【堤敏さん】 「自分の命より大切な子どもの命を奪われる。これは遺族にとって何年経とうが遠い昔の話じゃない。被害者は何年経っても被害の中にいる。私たちの息子は殺されるために生まれてきたんじゃない」

参加した学生たちは「文字とかニュースで見て遠い世界のことだと思っていたが心に重く残った」「自分でも誰でも、明日被害者や遺族になるかもしれないと身近に感じた。警察官になったら遺族の心のケアをしていきたい」と話しました。