全国の動物ファンに愛される神戸どうぶつ王国
兵庫県神戸市中央区、ポートアイランドにある「神戸どうぶつ王国」。定番の可愛らしい動物から、絶滅危惧種に指定されている動物まで、150種類800頭羽が飼育されていて、地元のファミリーをはじめ、全国の動物ファンからも一目置かれる大人気の施設です。
(客)「初めてです。可愛い。」
(客)「(この距離で見られるのは)うれしいです!」
(客)「尻尾のモフモフ感?ははは。触るたびに他にこんな生き物いないじゃないですか、新鮮ですね。」
(客)「動物との距離が近くて触れるのは楽しいし、よりその動物が知れて楽しい。」
距離の近い展示が特徴
神戸どうぶつ王国の特徴は、息遣いを感じられるほどの動物との近さ。まさに、野生の王国に飛び込んだかのようです。
(佐藤園長)「結構人気です。今寝てるけれど。」
神戸どうぶつ王国を作り上げたのが、佐藤哲也園長。動物の習性を生かした展示方法で、これまでにも数々の動物園を人気施設に育て上げてきました。現在も、国内のあらゆる動物園を飛び回り、動物の魅力や環境保全の大切さを全国に発信する忙しい日々です。
この日は、新たに生まれたプレーリードッグの新しい展示場のチェック。ベテランの飼育スタッフにも、厳しい指導が入ります。
(園長)「土全部どけて。」
(スタッフ)「はい。」
(園長)「岩で囲んでその中を牧草の山にしたらいい。そうしたら勝手に入り込むから中へ。石を円形みたいに組んでから牧草の山に。そこの土もこれくらい。ほんで地面から5センチ未満な、掘れるところなくすの。」
(スタッフ)「はい。」
(園長)「この土は絶対ダメ。大急ぎでやって来週から展示開始や。」
動物園はお客さんを野生へ誘う扉。動物は「見せる」ではなく「魅せる」ものだと、佐藤園長は言います。
展示場へのこだわり
こちらは、園長自慢のスマトラトラの展示場。
(園長)「なるべく行動できるように空中にも回廊を付けて色々な運動ができるようにしている。ああいう緑の中にいるとかっこいいでしょ。これが緑がなかったら最悪ですよ。そういう意味でも緑は大切。」
動物の生態を活かした、魅せる演出。園長のマジックは、圧倒的な動物との近さを生み出します。
(園長)「これはバクとの近さ。どうしてこれ降りないのか。アメリカバクはね降りないんです。前下りが苦手なんです。種の特異性です。行動学ですね。本当はその棒してあるのもお客さんが触らない為であって、それでより間近に見える。こんなにバクそばに見えるのはウチだけ。」
佐藤園長がスタジオ生出演
【スタジオ】
(木内)「神戸どうぶつ王国の佐藤哲也園長に、お話を伺っていきたいと思います」
(佐藤園長)「こんにちは、よろしくお願いします」
(木内)「まずは(スタジオゲストの)神先生、様々なこだわりであったり、見せ方を意識した展示をされていると」
(神)「ぼくも子どもたちとよく行ってたんですけれども、とにかくダイナミックでね、動物園って自分から檻の近くに行って見てるぐらいの感じなんですけど、神戸どうぶつ王国さんは触れたりもする。めちゃくちゃ生態の中に入ってるようなイメージがあって、すごく楽しいです」
動物園はお客さんを野生へと誘う扉
(木内)「園長は常々『動物園はお客さんを野生へと誘う扉』というお話をされているそうですけれども、どういったこだわりを持っていらっしゃるんですか?」
(園長)「まさに今(神先生が)言われたような、お客さんが動物園の扉を開けることによって、動物や環境の中に浸り込んでいただけるような、『ランドスケープイマージョン』という展示方式ですけれども、そこを目指していて、その結果、動物を好きになったり、環境を好きになったり、保全に対し興味を持ったり、そうなってもらうための最初の扉がおそらく動物園水族館だと思っていますので、そういう扉であり続けたいと思っています」
圧倒的な動物との距離の近さ
(木内)「距離が近いというのも、園長のこだわりのひとつですか?」
(園長)「距離が近いのが目的ではなくて、行動を考えたり、動物の行動レパートリーの再現を図ったりしているうちに、結果的にはそうなっていますけれども、動物は自分の意思で遠くも行けますし、側にも来られる。だから無理強いをしてるわけではないんですね。もちろん、絶対大事なのは事故防止ですから、その辺は注意をしてやっています」
(木内)「だからこそ、動物たちが生き生きとした姿を見せてくれるというところなんですね」
カワウソの展示場がまもなく完成
(木内)「そして、このほどカワウソの展示場がまた新たに作られたということで」
(神先生)「次々とかわいい動物や珍しい動物が投入されているように思うんですけれども、どういう基準で?」
(園長)「『こんな環境をお客さんに感じてもらいたい』という考えに立った時に、『その環境にはこの動物が似合うな』という考え方で選んでいます」
(木内)「このコツメカワウソの展示場が、7月15日からリニューアルされるということで、今工事中ですが、どういったこだわりが?」
(園長)「やっぱり非常に広い施設で、水辺があって、木も茂っていて。コツメカワウソというのは社会性がある動物で、家族を作りますから、家族で十分生活できるような、そんな自然環境をイメージして作っています。さらにこの中は、先ほど言った『ランドスケープイマージョン』の世界で、お客様がカワウソの世界にお邪魔するというスタイルになっています」
(木内)「ここに何頭くらいのカワウソが?」
(園長)「2家族9頭ですね」
(木内)「贅沢ですね!」
(園長)「見えなくてもいいんですが、そんなこと言ったら怒られちゃうかもしれませんけど。やはり大事なのは環境と、動物たちが過ごせる生息環境を作るのが一番ですから」
(木内)「野生に近い状況で見られるというところで、楽しみにしたいと思います」
種の保存にも尽力
(木内)「そして、神戸どうぶつ王国では種の保全であるとか、保存、環境の保全にもこだわっていらっしゃる。絶滅危惧種23種類の飼育も行われているということで、このあたりについてはどういった思いが?」
(園長)「こういう業務は我々の使命であり、責務でもある訳なんですけれども、我々だけではできないので、日本全国の動物園水族館が連携して、希少種の保存であったり、保全に取り組んでいます。もちろん、最近は国内だけではなくて、国際的な連携も図るようにしています」
(木内)「神戸どうぶつ王国は珍しい動物の繁殖にも何度も成功しているという印象があります。そういった意味では手応えというのは?」
(園長)「2回ほどクラウドファンディングをやらせていただきまして。動物を飼ったり、働いている人に給料を払ったりするのは私の責任ですが、こういうプラスアルファの仕事をしていこうと思った時に、支援のお願いをしたところ、目標額をはるかに超える支援をいただいていますので、我々がやっている活動を理解いただけたんだなと思っています」
ハシビロコウの繁殖に注力
(木内)「あと、ハシビロコウが神戸どうぶつ王国では存在感をすごく放っているんですけれども、このハシビロコウの繁殖にも取り組まれていると」
(園長)「新しいハシビロコウの生態園というのは、ハシビロコウの繁殖だけを考えた施設で。メインにはハシビロコウしかおりませんので、結構広いですけれども、ハシビロコウが生息するアフリカの湿地帯を再現したエリアですが、こちらに移してから、最近は今まで見られなかった行動が見られていますので、これからアジア初の繁殖というところを楽しみにしたいと思います」
(木内)「最後に、園長から見に来られるお客さんに対して一言いただけますか?」
(園長)「扉を開けていただいたら、私たちはお客様を魅了できるような施設を準備しますので、お客様はそれを感じていただいて、楽しむのはもちろんですけれども、動物を好きになって、それから環境を大事にできるような考え方を持って、そういう親御さん、もちろんお子さんもなっていただければ一番うれしいなと思います」
(ニュース×情報 キャッチ+ 6月28日放送)