2022年06月21日(火曜日) 17:33 報道特集・ドキュメント

釣った魚をおすそ分け “フィッシュシェアリング”

尼崎市の武庫川一文字。チヌやタコ、ブリなど、一年を通してさまざまな魚が釣れる県内でも人気の釣り場です。この日のみなさんのお目当ては?

(釣り客の男性)
今頃はチヌで、これから8月、9月くらいから今度タチウオ。

チヌを釣っていたこの男性。釣った魚を家に持ち帰るのかと思いきや…。

(武庫川渡船 代表 宮本悦男さん)ありがとうございます。
(男性)また釣れたら報告します。
(宮本さん)ありがとうございます!

釣り人が釣った魚を持ち帰らずにおすそ分けする「フィッシュシェアリング」という取り組み。釣り客を防波堤まで運ぶ「武庫川渡船」が実施していて、魚を必要としている子ども食堂などに無償で提供しています。

(男性)
私ら、どちらかというとチヌ釣りしてる人はそうなんですけど釣る楽しみがあって、食べるのではなくてほとんど釣りを楽しむだけなんですよ。(フィッシュシェアリングについては)いいことじゃないですか。喜んで食べてもらえるんだったら大変いいことですよ。

「フィッシュシェアリング」を展開している「武庫川渡船」代表の宮本悦男さんです。

-どれくらい提供してもらえる?
(宮本さん)
多いときは2~30枚くらいはいただけるときもありますし、お腹がパンパンで卵を持ってる個体とかは、この先のことを考えてみなさん逃がしてくれて、40~45センチくらいのちょうどいい魚を持ってきてくださる。
-基本、大きさとか条件に合えばどんな魚でもいい?
(宮本さん)そうですね!はい!

釣り人から寄付された釣りたての魚は、渡船事務所の台所で従業員が三枚おろしにし、瞬間冷凍しています。

-フィッシュシェアリングはどういうことから始まった取り組み?
(宮本さん)
始まりは、魚が良く釣れまして、お客さんもそこまで持って帰らないということで、魚を置いて帰られたんです。
その魚をもともとは釣り人さん同士で釣れなかった方にプレゼントするという形から始まりました。

この日、宮本さんのもとを子ども食堂のスタッフが訪ねてきました。子ども食堂が食材の調達に困っていると聞き、取り組みを始めておよそ4年。今では9軒の子ども食堂に届けられています。

尼崎市立地域総合センター上ノ島。月に2度、子ども食堂が開かれ、ボランティアのスタッフが食料のサポートを必要としている家庭などにお弁当を無償で提供しています。

この日の食材は「フィッシュシェアリング」で提供してもらったチヌ。子どもからも大人気というチヌのフライがお弁当の主役です。

(尼崎市立地域総合センター上ノ島 代表 河地美智代さん)
提供はすごく嬉しいんです。新鮮なお魚をね、すぐに冷凍したものをいただくので、おいしさは抜群なんです。子どもたちは本当に「おいしい、おいしい」って、会食の時なんかはおかわりがでたくらいなんです。

スタッフみんなで50食分のお弁当を完成させました。魚を寄付してくれた釣り人への感謝も忘れません。

(職員の女性)
今日は見えないところの影の支援、魚を頂いた方への感謝の気持ちを書けたらいいなと。

(河地さん)
尼崎の港で、海でこんな魚が捕れてるなんて知らないと思うんですよ、みんなね。どこか遠くからお魚屋さんが持ってきてくれて、みんなの食卓に並んでるのかなっていう思いがあると思うんですね。
いつもね、ここは宮本さんていうところからお魚を頂いてるんですよっていう話をしながら(お弁当)を渡してるんです。

午後6時の夕飯時。子ども食堂に次々とお弁当を取りに来る人たちの姿がありました。

-今日のお弁当見てみてどう?
(子ども)なんかおいしそうって思う。魚とか野菜とかがおいしそう。
-ここのお魚食べたことある?
(子ども)何回か食べたことある。前食べたときめっちゃおいしかった!
-今日もお魚やから嬉しい?
(子ども)うん!嬉しい!

子どもたちが手紙につづった感謝の気持ちは、しっかりと宮本さんに届いています。

(宮本さん)
自分らが食べても美味しいものを子どもたちに繋いでくれるっていう、釣り人の気持ちがどんどん増えてくれればもっと嬉しいので。
釣りに来た方も食べてほしいし、食べておいしかったから子どもにあげたいって気持ちもどんどん伝わってくれたらなって思いますね。

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