世界の料理をそろえる自動販売機
世界的ニュースネットワーク(CNNトラベル)が選ぶ「世界の美食トップ50」の1位に選ばれたタイの「マッサマンカレー」に、イスラム教徒が断食後に食べるという豆と野菜がたっぷり入ったモロッコの定番料理「ハリラスープ」など、世界のごちそうが売られているのは、兵庫県尼崎市の尾浜町に設置された自動販売機。
世界各地のスープやカレーがレトルト食品として、いつでも簡単に購入できます。しかし、一体誰がどのようにして作っているのでしょうか…?
ピラルクのお肉を使ったスープも?
自動販売機に書かれていた情報を基にやってきたのは、神戸市東灘区にある「世界のごちそう博物館」。
以前はレストランとして営業していましたが、店長の本山さんが食品ロスの少ないレトルト食品に可能性を感じ、現在は実店舗を閉め、オンラインを中心に世界のごちそうをレトルト食品にして販売しています。
「レトルトというのはロスが出にくい商品でして、今まで飲食店をしてたときに飢餓とか難民とか思いを言ってるのに食品ロスを出している自分に矛盾を感じて。世界の料理を通じて平和というのを感じてもらいたいというイベントをしたんですけど、すごく反響があって、それでもっとたくさんの方にその思いを伝えたいということで、レトルトの商品でたくさんの方に伝えようと思った。」
料理を通じて、世界で起こっている問題を多くの人に知ってもらいたい。自動販売機で売られている世界のごちそうは、本山さんの手作りの逸品です。
こちらは、ブラジルのアマゾン川に生息する巨大魚「ピラルク」のお肉。
刻んだタマネギとパプリカを、トマトソースとココナッツミルクで煮込んだ鍋に。煮込むことおよそ15分ー。
アマゾン一おいしい!というブラジル風ピラルクのココナッツ煮込みが完成しました。
クリーミーなココナッツスープにあっさりとした淡泊なピラルクが意外に合う!と大好評。
世界中の珍しい食材を簡単に調理し、様々なごちそうに変身させる本山さん。
1996年から3年間、約30カ国を周って地道にレシピを覚えたと言います。
レシピを学ぶときに市場の人と仲良く交流して、親近感を持ってもらって、家庭に招いてもらったり、泊めさせてもらったり、そのなかで家庭の料理を学びました。
自ら学んで研究し、今では日本が国家承認している196か国の料理のレシピを全て手に入れたという本山さん。
料理を通じて世界中の出来事を自分事として捉えてほしい
大人気で売り切れ続出!カンガルーのカレーを作っていただきました。
「テールといって尻尾の部分ですね。いわゆる脂肪分が少なくて鉄分が多い。さっぱりした味。オーストラリア(から輸入)です。カンガルーが増えすぎてて国の方で食べていこうという方針があってスーパーでも買える」
そのカンガルー肉と、10種類のスパイスやトマトソースを加えじっくり煮込むとー。南アフリカ風!ピリッと辛い!香り豊かな「カンガルーのカレー」が完成しました。
世界各地の国の珍しい食材を使った料理と、その食文化が感じられるレトルト食品で、本山さんが伝えたいことはー
「ウクライナであったりミャンマーもそうなのですが、いろいろな所で紛争がある。それが他人事ではなく自分事として捉えるきっかけを料理を通じて知っていただきたいです」