高額な温泉利用券が返礼品のルールに違反したとして
総務省は、4月26日、洲本市をふるさと納税制度の対象から除外すると発表しました。
地元の観光や漁業、農業関係者は?
寄付額全国8位 兵庫県内1位の洲本市(2020年度)
2020年度のふるさと納税による寄付額全国8位の54億円。兵庫県内ナンバー1の寄付を集めていた洲本市に4月26日、激震が走りました。
サンテレビ報道部 藤岡勇貴リポート
「午後9時を過ぎました。洲本市役所です。夕方に総務省から洲本市に連絡が入り、さきほどまで記者会見が行われていました。2階がふるさと納税の部署ですが、様々な対応、変更に応じなければいけないということで夜通し作業が続けられるということです」
こちらが問題となったふるさと納税の洲本温泉利用券。市が返礼品のルールに違反し、高額な温泉利用券を寄付者に贈っていたとして、総務省は、洲本市を5月1日から2年間、制度の対象から除外すると発表しました。
制度を拡大解釈しすぎた…
毛笠錦哉企画情報部長
「こちらとしては拡大解釈しすぎた」
返礼品の調達費は国の基準で寄付額の3割以下と定められていますが、例えば、10万円を寄付すると5割にあたる5万円の温泉利用券が贈られていました。洲本市は、50%のうち27.5%が調達費で、残りの22.5%は事務手数料やPR活動の対価だと主張していましたが。
洲本市 上崎勝規市長
「(国として)認められないという判断をされたということで、制度として私どもの方が間違っているというふうなことを理解したところです。今後そういうふうなことが無いようにするのが私たちの責務かなというふうに思っております」
総務省によりますと、温泉利用券に対しての寄付額は2021年10月からの約5カ月間で1万2651件、合わせて約18億6500万円でした。
この2年間新型コロナでまさにこれからだった
制度の対象から除外されることについて、淡路島観光協会会長でホテルニューアワジの木下学社長は?
木下学社長
「洲本市と総務省の間でコンセンサスが取れていた上で私どもはご支持をいただいていると思っておりましたので、本当にこのようなことになってびっくりしております。新型コロナからの脱却というのもことしくらいから2年くらいでしっかりとリカバリーしていきたいと思っていましたので、悪い影響が思っている以上に広がらないことを願いたいと思います」
2年間市民生活に影響の出ないように
対象は温泉利用券に限らず人気商品だった淡路牛をはじめタマネギなどの農産物も2年間ストップします。
ふるさと納税の返礼品を扱う肉の小畑 岡本浩明さん
「私ら販売店も大変なんですが、農家さん、淡路ビーフ、淡路牛を育ててらっしゃる農家さんにも大変大きなダメージが来るんではないか」
ウニやアワビなど海産物も人気商品でした。
由良漁協の漁師
「そりゃだいぶ損失や。
Q2年間しんどいですね
しんどいよ。赤字ばっかりや」
返礼品を扱う鮮魚店の人は
「相当だいぶん影響ある。確実にある。再開した時にまた納税してもらえるようにしっかり準備して前向きにとらえて頑張ります」
2020年度の洲本市の一般会計の歳入は、361億円でこのうち15%がふるさと納税でした。2022年度の当初予算では、60億円が見込まれていましたが、大幅に減額する見込みです。洲本市は、基金の残高約55億円をやりくりして、この2年間市民生活に影響の出ないようにする方針です。
洲本市 上崎勝規市長
「優先順位をつけながら予算の再編成の作業をしていかなければならない。新たな設備投資については少し後回しにしなければいけない」
洲本市の対象除外について兵庫県の斎藤知事は?
兵庫県 斎藤元彦知事
「県内の自治体でこういった事案が出たことは改めて遺憾だ。2年後の復帰に向けて新たなアイデアとそういった姿をつくっていただきたい。そのために県としてもできるサポートをしていきたい」
ふるさと納税制度の対象から除外されるのは、県内では初めてで全国で3例目です。
うなぎ上りの状態に待った
洲本市のふるさと納税額は、2014年度は3000万円でしたが、2015年度を境に激増。その後もうなぎ上りの状態で2020年度は54億円と全国8位に。2021年度は78億3800万円の見込みだということです。4月末までに申し込まれる分は返礼品が贈られます。すでに贈られている温泉利用券も通常通り使用することができます。2年先にふるさと納税を再開できるように今は信頼回復に努めるしかありません。
取材:藤岡勇貴(サンテレビ報道部)