3月26日。姫路市のJR姫新線太市駅が再整備を終えリニューアルオープンしました。
リニューアルした太市駅では、ある取り組みが日本で初めて行われるとあって、オープン初日は生憎の雨にも関わらず傘を手に多くの人が集まりました。
築90年が過ぎ老朽化した太市駅の再建計画は、当初、券売機と改札だけを設置して無人駅のまま再建される予定でした。ところが完成したのは2階建ての立派な駅舎。
一見普通の駅舎のようですが、太市駅の表記と一緒に「カンリクグループ」と地元の民間企業の名前が書かれています。ここに「日本初」の秘密が隠されていました。
実は、太市駅の駅舎はこの券売機と改札の部分のわずかなスペースのみで、ロータリーは姫路市が整備し、建物は地元の運送会社「関西陸運」の新社屋です。この形こそが、日本初となる新駅・太市駅です。
太市駅は通勤・通学の手段として地域住民から長年親しまれてきましたが、無人駅で夜は暗いことなどから隣の駅を利用するケースも多く、1日の乗車人数は59人とごくわずか。
人口減少や少子高齢化の影響でJRをはじめ姫路市も太市駅周辺の地域活力が低下しているという課題を抱えていました。
この問題に取り組もうと、去年3月JR西日本と姫路市、太市地区連合自治会、民間企業の4者が、賑わいづくりに向けた連携協定を締結しました。
こうして民間企業の社屋と一体となった太市駅が完成します。
姫路駅から岡山県の新見駅を走る姫新線の景色が望める建物2階が関西陸運のオフィス。本社機能はここに集約されています。
1階には関西陸運が運営・管理を行うレンタル会議室やレストランが開設されました。交流の場ができたことで地域の人が集まり、会話や笑い声が生まれにぎわいを取り戻しました。
当初は予定になかったトイレも関西陸運の敷地に整備され、駅利用者へ開放されています。
また地域の特産物や土産物を取り扱い、地域の内外に太市の魅力をPRします。レンタルサイクルもあるので週末の行楽を呼び掛けるなど観光誘致にも力を入れています。
地域の人もJRや企業に任せるだけでなく、自ら駅周辺の美化に努めるなど、新しい駅を大切にしています。