2022年03月23日(水曜日) 11:14 報道特集・ドキュメント

プロ野球12球団コラボサンダル 靴業界初めての取り組み

こちらが2月1日から販売が始まった、プロ野球12球団とコラボとしたサンダルです。阪神タイガースにオリックス・バファローズ。去年日本一になった東京ヤクルトスワローズなど、各チームのロゴなどがサンダルにはあしらわれています。

このサンダルを製造販売するのは、大阪市生野区にあるリゲッタです。プロ野球12球団とコラボした商品の販売は、靴業界では初めての試みだということです。

(リゲッタ 高本やすお社長)
単純に面白そうとか、他社がやってないのだったらやりたいという気持ちがあったんですけど、まだまだ小さい中小企業なので大きな広告費をかけてリゲッタを知ってもらうことができない。
ファンの人も球場に行くときに足取り軽く、仮に負けたとしても足取り軽く帰ってもらえたらなという気持ちもありながら今回作らせてもらった。狙いとしては広くの人に喜んでもらいたいというのが大きい。

コラボ商品は、カーブしたつま先とかかとが特徴的なリゲッタの主力商品「リゲッタカヌー」がベースになっています。

社名でもある「リゲッタ」。日本の伝統的な履物、げた(Geta)をもう一度(Re)という思いが込められています。

去年、阪神タイガースとコラボしたサンダルの販売を開始し、今年は一挙に12球団すべてとコラボを実現させました。

(高本社長)
特徴は大きく2つありまして、履いたときにすごく気持ちいいと思ってもらえる。
人間の足は複雑な形状で凹凸がある。僕たちのインソールは、土踏まずがふくらんでいたり足の中央部を持ち上げるようなふくらみがあったりすることで足の裏と靴の中のフィット感が抜群に変わってくる。すごく履いた瞬間に気持ちいいと思ってもらえるのがひとつ目の特徴で。
かかとで着地するときに優しく大地をつかんでくれるような形状でしっかり着地ができる。蹴り出しはつま先が大きくせりあがっているので、蹴り出しの時に少し力を入れるだけで体がひょいっと持ちあがるような、てこの原理が働く形状になっているんですよ。

高本さんは、会社を経営するとともに商品をデザインする靴職人で、大阪府優秀技能者「なにわの名工」や「大阪テクノマスター」に認定されています。

リゲッタでは、靴をパーツごとに組み立て、それぞれの工場を巡回するという従来のスタイルから、自社で製造工場を持ち、製品を作るスタイルに挑戦しています。

■裁断
(高本社長)
「抜き型」っていう、僕らがサンダルの形に設計した型を刃物にしてもらうんです。
これは神戸の長田で作ってもらっていて、この刃物になったものを裁断士に渡して裁断してもらう。この時点でうちの会社のデザイン開発しているメンバーと連携が取れているので。

■ミシン
さっき裁断が終わったものをペタペタ貼ったりとか、いろいろ組み立ての工程とか入ることが多いんですけど、靴はどうしてもミシンをたくさん使うことが多い。順番を間違わないように、これを縫ってから挟み込んでまた縫うというのを繰り返し行います。

■はり
両足になると8回塗るという同じ作業を何度も鍛錬して繰り返す。難しいのがのりがはみ出したら見た目が汚い。のりがはみ出さないように丁寧に素早くやるというのが難しいところ。

■圧着 
のりを塗ったものを最終しっかりプレスして底がはがれないようにする。上下の合わせ方、靴の上側と底をしっかり隙間なく合わせないとズレて隙間が空いてしまったり、どうしても見た目がきれいにあがらないので慎重にやる作業になります。

神戸市長田区は、くつのまちとして知られています。

高本さんは高校卒業後の1994年、東京の専門学校に通い靴職人への第一歩を踏み出し、翌年、阪神淡路大震災直後の長田区内で修業の日々を送りました。

高本さんは修業時代に、「人生の師匠」と呼ぶ人たちに出会ったと話します。

(高本社長)
まだ専門学校を出て神戸の長田は1995年、震災の年ですよね。この靴、時間を真剣にすべてを使ってやったるって感じさせてくれたのが長田なので、思い入れは語り尽くせないくらいある。
ほんまに第2の故郷というか、僕のリゲッタの生みの親が神戸の長田だと思っているので、あの経験がなかったら今の僕はいてないといまだに思います。

高本さんの人生に影響を与えた一人が、水谷義人さんです。

水谷さんは、神戸市長田区で靴を製造・販売する三福を経営していて、高本さんの義理の兄でもあります。

(三福 水谷義人社長)
(高本さんは)一言で言えば努力家ですよね。本当に靴が好きでオタクくらいのレベルだと思いますし、木型とか削り出したら本当に止まらないような感じ。
完成するまで何度も何度もやり直すというところも見てましたし、それが今の足入れのいい靴につながって、消費者が認めて、それが全部いい方向にいっているなとうらやましく感じます。
リゲッタを見習って、まずはオリジナルブランドの強化。これが一番だと思います。三福ではOEMが多いが、一部4~5年くらい前から展開しているオリジナル商品があるのですけど、それを確立していきたい。

アパレル業界は新型コロナウイルスの影響で消費が低迷し、苦境に立たされています。テレワークの推進や外出する機会が減るなどがその理由に挙げられます。

高本さんに、次の目標を聞きました。

(高本社長)
4月にインドに合弁会社をつくるんですよ。こんなコロナの時期に言われるかもしれないが、インド市場でも有名になりたいというのもありますし、元々の夢でアメリカとかでめちゃくちゃ人気のあるブランドになりたいと思っていて。
海外の人に日本の履物はと質問した時に、当たり前の様に「リゲッタやろ」と海外の人に答えてくれる、そんな状況をつくりたいと思っている。

おしゃれは足元から…。まもなく春本番、ごひいきの球団のサンダルを履いておでかけしてみてはいかがでしょうか?

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