2022年03月18日(金曜日) 10:54 報道特集・ドキュメント

発達障害の息子が教えてくれたこと

息子の発達障害を契機に、勉強を見ることになった三田市の男性。息子に寄り添う勉強法で、中学1年生ながら英検準1級を取得するなど成果をあげてきました。親子二人三脚で、気がついたこととは?

三田市の渡辺英雄さんです。中学1年の息子・瑛太さんには発達障害があります。

(渡辺さん)
おーいいんじゃない。いいんじゃないか。おーいいんじゃないか。よしよし。

渡辺さんは料理中決して息子を否定せず、いいところをほめ続けます。そして料理や散歩など、なるべく一緒の時間を共有するようにしています。

(渡辺さん)
自分がやって楽しいことを息子と一緒にやろうと。(息子に)無理をさせない、常に前向きに楽しく取り組む。

(瑛太さん)
得意な料理は今作っているオムライス。お母さんがおいしいって言って喜んでくれるのが一番うれしい。

瑛太さんの発達障害の特性は相手の気持ちを汲み取るのが苦手なことや空気が読めないこと。一方で興味のあることには並外れた集中力を発揮し、数学と英語が得意。

父親が勉強を見ることで、中学1年ながら、高校1年レベルの数学検定準2級と大学中級レベルの英検準1級を取得しています。

発達障害は15人に1人にその可能性があるといわれ、こだわりが強いといった自閉スペクトラム症、衝動的に行動するといったADHD、読み書き計算が苦手な学習障害などです。

瑛太さんが診断を受けたのは6歳の頃。自閉スペクトラム症とADHDで、衝動性やこだわりも強かったといいます。

(渡辺さん)
妻はショックで泣いてしまうくらい。僕もそんな妻を見てどうしたらいいのか。だいぶショックを受けた。

息子に特性があり塾にいけないため、渡辺さんが勉強を見ることに。そこであることに気が付いたといいます。

(渡辺さん)
発達障害のあの特性もこの特性もみんな昔の自分じゃないかということに気がついた。
人の話を集中して聞けない。理解するのが難しい。僕が出来なかった原因がそこにあったと息子のおかげで気がついた。息子も同じ道をたどるのではないかと。
これから起こるであろう問題をすべて予測して先回りして対策した。昔の自分は能力や努力不足ではない。何か方法があるはずだ。同じ特性の息子と最適な勉強法を見つける中で、それを証明する日々が始まりました。

日課の親子学習です。英語では一回一回止めて指導することはなく、料理同様ほめ続けます。最初から完璧を目指さない代わりに何度も繰り返す「繰り返し学習法」です。

(渡辺さん)
ああ、すごいなあ。すごいなめらかだなあ。完璧やなあ。よしっ。

続いて数学。瑛太さんはノートを使わず、速読します。

(瑛太さん)
暗算で解いているんですけど、分からなかったら答えも見ます。

すぐ正解を見て最初に全体を把握して繰り返す「全体学習法」です。

(渡辺さん)
息子には誰かと比較するのだけは絶対やめようと。時間をかけてでもやる。待つことが大事。とことん待って信じることが大事。何か少しでもいいことを達成できたらほめる。

ふたつの学習法の結果、息子の瑛太さんは小学5年の時に、高卒レベルの英検2級を取得。渡辺さんも49歳の時、苦手だった英語でTOEIC780点を達成しました。

その成功体験をもとに、会社員を辞め、現在はオンラインでの英語教室を行う渡辺さん。親子で一緒に取り組み学びを深めるクラスと、自分自身で計画を立て学習できる自律型クラスのふたつを運営しています。

まず先生が徹底した予習。そしてほめてのばす。

(渡辺さん)
よう頑張ったな。よし。いいよ、いいよ。最初から100%できなくてもいいからね。

「繰り返し学習法」で英検合格を目指します。

息子の発達障害が教えてくれたたくさんのこと。

(渡辺さん)
発達障害の子たちは得意な部分は放っておかれて、苦手な部分ばかりにフォーカスされる。得意なことを伸ばして苦手なことをカバーするのが理想的。
発達障害のことを理解してサポートしてあげることで、その子が持っている能力を最大限引き出せると思う。

では親子の将来は?

(瑛太さん)
海外に留学して、将来は起業家になりたい。
(渡辺さん)
とにかく息子は面白いです。ふふふ。
色々な可能性がある。興味深い、明るい未来が待っている。そういう面白さがある。

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