2022年03月16日(水曜日) 17:01 報道特集・ドキュメント

「村民募集中」の廃屋群へ 神戸で広がる村おこし

神戸市の中心地から車でおよそ10分。「村」は、長田区長田天神町にあります。

立地は神戸電鉄丸山駅の目の前とアクセス抜群。細く長く続く小道を下っていくと、自然の中に溶け込む門や建物を見つけました。

時の流れを感じさせるレトロな雰囲気、複数の小屋が並ぶ景色は、たしかに「村」のようです。作業している人を見つけました。

-ここで何をされてるんですか?
古い家を直して村を作ってる感じです。
-村民募集中の村というのはここで間違いないですか?
はい、ここ。ここあります。

村を作っているのは西村周治さんです。一級建築士の資格を持ち、市内で設計事務所や不動産会社を営んでいます。おととし、所有者から依頼を受け7件を買い取りました。

(西村さん)
バラックリンと呼んでいる。バラック小屋みたいなのがちらほらあったので、人がいない場所に人が来ることになったらブルックリン的な感じかなと。

人がいなくなった場所に賑わいを。大学時代、廃屋を改修して暮らした経験から、西村さんは市内にある数々の空き家を生まれ変わらせてきました。

(西村さん)
ガラス入れてるので明るくなってます。制作やDJ 音楽したりなんでもできる場所として使っている。

建物は、あえて当時の趣を残しながら電気や水道を整備し、耐震を強化するなどリノベーション。去年12月、イベント会場として開くと「異世界のようだ」と話題になり、アーティストや音楽家、さらには怪談師までおよそ200人が村に集まりました。

(西村さん)
表現するとか制作する人がここで発表できる場所。使う人が自由に作っていける場所。

西村さんが募る「村民」とは、自由に表現を楽しむ人たちです。小屋に残る痕跡が人々を引き付けます。

(西村さん)
(大仏様とか天狗は)もともとここの隣がペット霊園で、大仏様とか捨てられようとしてたので、それをゴミになってしまうのがあれなので、ここをライブ会場に使ってました。

ここはペット霊園を営む会社でしたが、高齢化が進み閉園しました。老朽化が進むにつれ、不動産会社が買い取らず解体にも費用がかかるため、困った所有者が相談に来るケースが増えているといいます。

西村さんが新たに奮闘しているのは兵庫区梅元町エリアです。ずらりと並ぶ7件の空き家を改修しています。

(西村さん)
学生もいたら写真家もいたり花火師もいたり、いろいろな職種の人がアルバイトで手伝いに来てくれる。

西村さんの活動はSNSで広がり、建築や町おこしに関心を持つ若者に影響を与えています。

(若者たち)
解体で材が組んであるとか卓上の勉強だけでは全然わからないので、こういう機会をくださってありがたい。
空家多いのが問題視されていたので、改修して地域を盛り上げる活動を自分も将来やりたいと思っているので。

中には、改装をしながら住んでいる人もいます。この物件、家賃はタダだそうです。

(西村さん)
集まった廃屋を全体で直す方がよりインパクトがあるし、そこで住む人も関りあいが生まれるのではないかと。ここに住んで使っていくことで、全体が完成するような感じ。

このエリアでは7件中すでに4件入居者が決定。西村流、村おこしの輪が広がり始めています。

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