2022年03月09日(水曜日) 19:04 報道特集・ドキュメント

奇祭・由良のねり子祭りの変化

洲本市の由良町には「ねり子祭り」というお祭りがあります。江戸時代から続き奇祭とも呼ばれるお祭りですが、時代とともにそのありようも大きく変わりました。淡路駐在の神子素カメラマンが取材しました。

江戸時代に始まったとされる洲本市由良地区のねり子祭り。これはサンテレビに残る37年前に撮影した映像。結婚式の風習がなかった由良地区では子どもが数え年で3歳になる年の2月に3カ所の神社を練り歩き、結婚と子どもの誕生を報告しました。多くの家族が参拝し、だんじりや神輿が祭りに活気を与え、にぎわいをみせます。

神子素カメラマンが訪れたのは南さんのお宅です。次女・柚帆ちゃんが参加するねり子祭りの準備が進められていました。

ねりこ祭りでは、着物を新調し親戚を集めて盛大に祝いの会を開くなどして1000万円以上が費やされることも珍しくありません。もちろん南家もこの日のために着物を新調しました。

南家では2年前に長女・奏帆ちゃんのねり子祭りがありました。

(柚帆ちゃんの母 加帆里さん)
このビデオをずっと見てたんで、自分の小さい時のことがよく分かって。これでねり子が自分の中で大切なものというか印象に残ったものになった。
自分も小さい時にねり子してもらって、上の子もねり子したんですけど、この子のおかげでまたねり子させてもらえてうれしいです。

妻の加帆里さんは祖父母世代・親世代と3代続いてねり子祭りに参加しています。

(祖父 山家正明さん)
ことしもコロナでわややな。人呼べないからどないもできない。身内で内々でするしかない。

柚帆ちゃんの顔に魔除けの印を書き込めば準備完了。お参りに向かいます。

(加帆里さん)
(柚帆ちゃんの着物は)成人式でも着れるように仕立ててるから。この子がもし二十歳になって、これを着たいってなっても着られる。私もねり子で仕立てた着物を成人式で着ました。

ねり子祭りは2日間にわたって行われ、初日の宵宮は「女の祭り」とも呼ばれ、女性だけで由良湊神社まで練り歩き、着飾った姿を披露します。

目的の神社に到着し、祈祷を受けるころには柚帆ちゃんはすっかりお疲れモード。大役を終えて母親の加帆里さんも肩の荷が降りたようです。

(加帆里さん)
健康で元気に育ってくれたらいいと願っている。
このごろは男の人もお参りする人も多いけど、私たちの時代から10日は宵宮の日が女の人たちだけが参っていた。

ねり子祭りの本番は2日目の本宮です。37年前の映像には続きがあります。

本宮では由良湊神社を参拝したあと、700メートル離れた戎神社で鈴のお祓いを受けます。この時、一番鈴が最も御利益があるとされ、子どもを抱えて競争となります。

本宮では父の宣寛さんも晴れ着を身にまといます。

(父 宣寛さん)
妻が由良出身で私もしてもらったことやから「(子どもに)してあげたい」ということで、上の子と下の子と2回目を迎えることができて、とてもいい日を迎えることができたと思っています。

由良湊神社にねり子祭りに参加する家族が集まってきました。祈祷を受けていよいよ競争か!と思われましたが…どの家族も競うことなく次の神社へ参拝に向かいます。

お金が掛かることと子どもの安全を考えて、ねり子祭りは10年ほど前から参加者が減り、今では競争はなくなりコロナの影響で祭りを盛り上げるだんじりも姿を消しました。

(由良湊神社 )
通称ねり子祭りなので、お祭り自体は春季例大祭の中にねり子祭りがある。
額とほっぺに十字を付けて宵宮の日にお祓いに来るのは父から聞いている。他のしきたりは町の中で言い伝えられて、風習のように伝わっているものだと思う。

江戸時代に起源を持つ伝統の由良のねり子祭りは子の健やかな成長を願う神事です。姿を変えながらもお宮参りの風習は今もなお残り続けます。

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