2022年03月03日(木曜日) 11:37 報道特集・ドキュメント

宅配とともに高齢者見守る 神河町の就労支援事業所

兵庫県神河町では、障害者の就労支援を行う地元の事業所とコープこうべが連携して、地域の高齢者の見守り活動をことし1月から始めました。開始から2カ月。スタッフの活動を追いました。

神河町の社会福祉協議会が運営する「ひと花」。2020年、障害者の作業として開所し、当初はお菓子のパッケージ作りなど施設内での業務を行っていましたが、ことし1月からコープこうべの宅配業務を請け負うこととなりました。

(ひと花 難波義博施設長)
基本は中での下請けの作業を確実丁寧にやっていくということですが、それを毎日続けていくと飽きがきちゃうので、そんな中で外に出る仕事があればメリハリがついて、より仕事に励んでくれるかなと。

コープこうべによりますと、神河町と地域の課題などについて話し合う中、ひとり暮らしの高齢者が多い現状やひと花に通所する利用者の働く場の少なさが課題として挙がり、今回の企画が立ち上がったといいます。

利用者が宅配を担い、あわせて高齢者の見守り事業を行うこととしました。

(難波施設長)
(ひと花が)訪問することにより、特に高齢の方の見守りとか安否確認。それから普段ひとりで住まわれているので、話し相手も心掛けるようにしています。

商品はコープこうべから一度ひと花に届けられ、仕分けをひと花が行い高齢者の自宅へと配送されます。

ひと花に支払われる配達料は1回200円。それがひと花の収入になります。

この取り組みは高齢のため出掛けづらい人たちを助けるだけでなく、そんな人たちの見守りを兼ねているほか、ひと花としては障害者が地域でも活躍できる場を提供することが可能となります。

(難波施設長)
やはり初めてのことですので、うまくいくかどうかというのもあるので最初はすごく不安でした。
模擬の練習を何度かして、注文書を見て商品を開けるというのをシミュレーションで何回かして要領をつかんでます。

開始から2カ月が経ち、今では障害のある4人のスタッフがこの業務を受け持ち6軒の家を担当しています。

(ひと花 左近竜平さん)
(作業に気を付けているのは)仕分けの仕方を知っている人のやり方をよく見て、指示に従うことから始めています。

コープこうべによりますと、通常の配達では1軒あたり5分程しかかけられないために今まではなかなか高齢者の聞くことができませんでした。しかし、配達だけではなく高齢者の話にじっくりと耳を傾けるのがひと花の違うところです。

(左近さん)
愚痴やこういうことをしてほしいとかおっしゃるんですが、愚痴も絶対大切なんです、僕らにとってはね。それがないと話が通じないんですよ。愚痴を聞いてあげないと。(愚痴は)マイナスの言葉と思えるけど違うんですよ。

実際、どのような仕事をしているのか密着してみました。

午前10時ごろ…。

(左近さん)こんにちは~。
(高齢者)こないだ注射に行ったとき寒かった。今度また行かんならん。
(左近さん)辛いことや苦しいことはどんどん行ってね、僕らに。
(高齢者)言って治るか?(気が晴れるかも)そうかもな、ありがとう。

ひとりひとり丁寧に向き合うひと花のスタッフに、高齢者からは感謝の言葉がこぼれます。

(高齢者たち)
助かりますよ。私どこも出られへんもん、今。骨折ってるから。
いつもありがとうね。こうして持ってきて頂いたら助かります。
よく声を掛けてくださるんですよ。健康のことも気を使ってくださる。ありがたいと。

施設の外に出て高齢者たちと触れ合う今回の取り組みを通して、ひと花にも新しい気付きがあったと難波さんは言います。

(難波施設長)
外に出てさらに役立つ仕事をするということに対し、積極的に取り組めるようになっている。利用者さんからもすごく好評で、また次も行きたいという声も強く上がっている。
ひと花が色んなところで活動しているんだということを町民の皆さんにも認めてもらいたいなと考えている。

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