旧優生保護法のもとで不妊手術を強いられたのは憲法違反だとして聴覚障害がある大阪府の夫婦らが国に賠償を求めた裁判で、大阪高裁は2月22日、原告の請求を認め、国に賠償を命じる判決を言い渡しました。
この裁判は、聴覚障害がある夫婦ら3人が国に計5500万円の賠償を求めたもので、1審の大阪地裁の判決は旧優生保護法を違憲と判断したものの、不法行為から20年で損害賠償請求権が消滅する「除斥期間」を理由に請求を退けました。
22日の判決で、大阪高裁の太田晃詳裁判長は、旧優生保護法は違憲としたうえで、除斥期間については「原告らは情報へのアクセスが著しく困難な環境にあり、適用を認めることが著しく正義・公平の理念に反する。」として国に対し計2750万円の賠償を命じる初めての判決を言い渡しました。
一連の裁判を巡っては、兵庫でも聴覚障害者の夫婦ら5人が、請求を棄却した神戸地裁の判決を不服として大阪高裁に控訴しています。
判決を受けて、兵庫の原告の鈴木由美さんは「『勝った』ということが大きな一歩であり嬉しいです。」、一方、兵庫弁護団は「除斥期間の適用によって国の責任を免除することを不正義とする極めて妥当な判断。兵庫訴訟の大阪高裁控訴審についても、本判決に続く勝訴判決を勝ち取るべく全力を尽くす。」とコメントしています。