旧オリエンタルホテルの味を受け継ぎ 全国へ

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洋食文化の街・神戸で、昔懐かしい味を受け継ごうとした男性がいます。その味とは?
そしてコロナ禍での挑戦も取材しました。

神戸・元町、
もうすぐ丸9年を迎える「Sion」。
こちらのお店の看板メニューが…。

やっぱりメインはカレーですね。
震災で休館してしまった旧オリエンタルホテルのシェフたちから受け継いだカレーを提供させてもらっています。
そう実はこちらのカレー、旧オリエンタルホテルで提供されていたカレーを再現したもの。

たまたまシェフたちと仕事で会って出されて食べた時に懐かしい味と思った。
シェフも高齢化して、「誰がこの味を守るの?」と火がついてしまって、「よっしゃ!俺がやったる」と思って、受け継がせてもらいました。

オーナーの一枝さんが子どもの頃に食べたその味を守り伝えたいと、旧オリエンタルホテル出身のシェフを集め、5年の試行錯誤を重ねて、往年の味にたどり着きました。

「教えてくれなかったんですよね。シェフたちが」
「これをこうしてこうやんねんで」という人たちじゃない。
ずっと見ていて「これどのくらい入れてんの?」って聞いたらやっと教えてくれるようになって。
ある時、僕やけどしているんですけど、このやけどを見て「お!自分もコックさんらしなったな」と言われた時になんとこの人ら粋なやと。
ものすごく肌で感じた。それからは楽しい。

「シェフたちに教えてもらった仕込みができて、しっかりと守られたカレーになっていると思います。
最初にフルーツや玉ねぎの甘味を感じて頂いて、その後にちょっとした酸味が出てくる。その酸味の後に、じわーっと辛みが出てくるという三段階に味が変わるというのがなかなかできなかった。もう黄色なるんちゃうかってぐらいカレー食べました」

実は一枝さんがここまで仕事に打ち込むのにはある理由が…。
「父はずっとプロ野球をやっておりまして」

一枝さんの父は阪神や中日でコーチを歴任し、1985年に阪神を日本一に導いた野球解説者の一枝修平さん。

ずっと「一枝修平の息子」って、そこそこええ年まできて「俺はカレーで親父を抜いたろ」と。
受け継がせてもらったものがあるから、これを守り続けて、
「あのシェフのお父さん一枝修平やってんで」という形になればいいかなと。

最近では父の肩書に負けない程、一枝さんのカレーを求めて行列ができる人気店とまでなりました。

伝統の味を受け継いだカレー。
この3月には、レトルトカレーとしても販売予定で、そこにもまた一枝さんのある思いもありました。

「どこの店も一緒だと思うんですけど、コロナで先が全く見えない。
僕が死んでしまったら、この味誰がどうすんの?とそこにものすごい危機感を感じて。
で、MCC食品さんに俺がなんかあったり店になんかあったら守り継がれないとご相談をさせてもらった」

神戸の洋食店と地元企業がタッグ
「最初一枝さんとお会いした時に熱意を持ってお話してくださったので、神戸生まれ神戸育ちの当社としては絶対に一緒にやらさせて頂ければならないと思いました」

「こういった神戸の味を守ろうとしているところをいろんなレストランに知って頂いて、神戸のレストランが未来永劫に残すというところを最終的な目的にしたい」

「全国に発売して頂けるということで、本当に身の引き締まる思いで、ますますシェフたちから受け継いだものを改めて感じているところです」

神戸伝統の味を全国へ。
一枝さんの挑戦はこれからも続きます。

全国へ。 一枝さんの挑戦はこれからも続きます。

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