【特集】ワクチン後遺症 副反応ではない 慢性的な後遺症の訴え

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新型コロナのワクチン接種後、長期間症状が出続けている後遺症を訴える患者がいます。まだ十分に認知されていない「ワクチン後遺症」について取材しました。

オミクロン株の感染拡大によって県内でも保健所や医療がひっ迫。急ピッチで3回目のワクチン接種が進められています。

(斎藤元彦兵庫県知事)
本県も含めて全国で3回目の接種の進捗が進んでいないという現状がありまして、やはり3回目のワクチン接種というのが大事だとできるだけ県の接種会場で枠の拡充をさせていただいてなんとか進めていきたいなと。

神戸大学などはワクチンの効果について大学病院の医師65人を対象にウイルス感染を予防できる抗体中和抗体を調べました。

(神戸大学大学院 森康子 感染症センター長)
今までの従来株、デルタ株はワクチン接種後2カ月、6カ月でも中和抗体を持っておりまして、なのである程度感染を抑えることがワクチン2回接種で可能でした。今回の第5波が落ち着いてきたのはワクチン2回接種の効果があったと思われました。

オミクロン株は1回目、2回目の接種で十分な抗体ができませんでしたが。

(森感染症センター長)
オミクロン株はなんと驚いたんですが、今まで2回接種でほとんどできなかった中和抗体が3回接種することによってこのように64倍まで上がりました。

一方、ワクチン接種にはリスクも伴います。

厚生労働省が発表した死亡報告事例では、去年2月17日からことし1月2日までにワクチン接種後に亡くなったと報告された人数は1438人。このうち専門家によって因果関係が認められないとされたのが10人。

情報不足などによりワクチンと死亡の因果関係が評価できないとされたのが99パーセントにあたる1428人。たとえ接種の数時間後に亡くなったとしても、因果関係が否定できないと認められた事例はこれまで1例もありません。

また、アナフィラキシーや急性アレルギー反応といった副反応以外にも、接種後から長期間症状が続いているワクチン後遺症を訴える人たちがいます。

(女性の母)
(1回目接種の翌日)「お母さん、何かちょっと胸が息が苦しいんやけど気のせいかな」と言って。熱も出なかったのでそんなことないんちゃう?気のせいちがうって。学校の方からお母さん息が苦しいって言っていますって。息ができないって言ってるんです迎えに来てくださいって。

尼崎市にある長尾クリニック。全国からワクチンの後遺症を訴える患者が訪れます。院長の長尾和宏医師は、これまで50人以上の患者を診てきました。

(長尾クリニック 長尾和宏医師)
症状としては実に多彩で例えば50人いたら50人とも違うんですけども、共通することは日常生活が以前のようにできない。学校に行けない、職場に行けないという状態が1カ月以上。中には半年以上続いて社会生活から脱落してしまっている。

(長尾医師)
「立っていられない」って書いてあるけど立ってられへん?
ちょっと歩いてみようか、ゆっくり。あー、バックできへんのか。その椅子に戻って。倒れそうか?えー、トイレ行くの大変やね。
(女性)
壁にこう…。壁つたいに。

関西に住む中学1年生の女性。去年10月に1回目のファイザーのワクチンを接種した後、歩行困難などの症状が表れ、病院を転々としました。

(長尾医師)総合病院での検査結果、何って言われた?
(女性)「異常なし」
(長尾医師)異常やんか。神経内科には行った?
(女性)ギランバレーとかも疑ってそれでも検査は異常なしって。「ギランバレーじゃない」って言われた。

長尾医師はワクチンの後遺症と診断。女性は現在、治療を受けて回復に向かっているそうです。

こちらは兵庫県内に住む高校1年の男性です。1回目にファイザーのワクチンを接種後、新型コロナに感染し、去年9月、2回目のワクチンを接種。記憶力の低下を訴えています。

(長尾医師)記憶力って例えばどういう風に記憶力が悪いと感じますか?
(男性)数学の公式を覚える時にさっきやったのに全然頭に入ってこなかったり。全教科が。
(長尾医師)全教科暗記できへんようになった?
(男性)暗記ができないです。(留年する可能性がある?)はい。

長尾医師は新型コロナの感染による後遺症とワクチン後遺症の両方を疑っていて、脳の中で炎症が起こっている可能性を指摘しています。

(長尾医師)
(ワクチン後遺症は)強い全身倦怠感。疲れやすい。動いたらすぐに疲れる。あるいは胸が痛い。あちこちが痛みが移動する。手足が痛い。食欲がない。人によっては歩きにくい。認知症のように短期記憶が障害される。ものが覚えられない。こういったことを訴える方がいらっしゃいます。
コロナ後遺症に限っては病気として認められているところが、ワクチン後遺症という概念がないために補償の受け皿がない。若いですから介護保険の対象にもならない。ワクチン後遺症という概念が認知されていない。

長尾医師は記録映像を公開して、理解を求める活動を続けています。

(長尾医師)
東京からも来ます。九州からも来ます。わざわざ1泊して来る。そこまでして来るのはよっぽど困っているんやなと。なんとかしてほしいんやなと。声をあげないといけないと思います。

3月からは5歳から11歳も対象になり、ファイザーのワクチン接種が特例で承認されます。

(後藤茂之厚生労働大臣)
具体的に(5歳から11歳の)有効性については抗体価の上昇が16歳から25歳までと同様に評価されていること。発症予防効果が約90%であることが報告されております。
安全性については有害事象の発現頻度などを踏まえると、現時点で安全性に重大な懸念は認められないという評価がなされております。

(立憲民主党 青山大人議員)
オミクロン株についての科学的知見はちゃんと収集されたのか?(後藤厚労相)
オミクロン株については5歳から11歳の直接のデータは現時点で存在していないわけです。薬事・食品衛生審議会においても、5歳から11歳に対しても成人と同様の効果があると推測されているというのが科学的な正確な言葉でございます。

5歳から11歳の接種については小児科医の間でも意見が分かれていて、長尾医師は強い懸念を示しています。

(長尾医師)
子ども(10代)がコロナで亡くなった方は3人。ワクチンで亡くなった方は5人(原因不明)としても、3対5でワクチンで亡くなった人が多いわけです。リスクとベネフィットと言いますけど、ベネフィットよりもリスクの方が高いんじゃないかと、子どもさんは。
では高齢者、同居している高齢者を守るために子どもが打てという方がいらっしゃいますけども、僕は子どもには酷なんじゃないかと。

厚生労働省は、死亡事例は報告されていても「ワクチンが原因で亡くなったことではない」と否定しています。また、3回目の追加接種についても感染予防効果や重症予防効果の観点から接種が望ましいと呼びかけています。

まずはワクチンの副反応について見ていきます。1月2日までに医療機関から副反応の疑いと報告された事例は、3万件を超えています。

1月28日時点のデータですが、国の健康被害の救済認定を受けたのは515人で、そのほとんどがアナフィラキシーや急性アレルギー反応です。

では、1カ月あるいは半年と長期的に症状が出るワクチン後遺症はというと、まだその概念が十分に知られていないのが現状です。

兵庫県ワクチン対策課は、「人数は非公表だが後遺症を訴える患者を把握している。基本はかかりつけ医に診てもらい、医師が判断に迷った場合は専門的な医療機関を紹介している」ということです。

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