2022年02月03日(木曜日) 11:11 地域・まち報道特集・ドキュメント

巨大観音像解体 地元の思いは?

去年6月から解体工事が行われている淡路市の「世界平和大観音像」。最盛期には多くの観光客が訪れる名所でしたが、この解体に地元では様々な思いがあるといいます。淡路総局・神子素カメラマンのリポートです。

淡路市釜口にある高さおよそ100メートルの「世界平和大観音像」。地域のランドマークとして親しまれてきましたが、去年の6月から解体工事が行われています。

観音像は1982年に完成し、オープン当初は多くの観光客が訪れました。しかしその後、所有する淡路市の男性や相続した家族も亡くなったことで2006年から放置状態に。観音像は壁の一部が落下するなど老朽化が進み地元住民から不安の声が上がっていました。

(淡路市職員)
非常階段もかなり腐食が進んでおり、いつ倒壊してもおかしくないような状況です。

そこで国はおととし4月、観音像を国の所有とし解体撤去を発表。現在、像は足場ですっぽりと覆われています。

(レストラン アメリカ 庄司功さん)
一言で言ったら思ったよりも(工事の音が)やかましくてそれが一番気になる。

そう話すのは観音像の開館と共に開店したレストランの店主。

(庄司さん)
当初はお客さんもたくさん来ていただいた。年々この様な状態なので売り上げも減ってくる状態ですね。
40年間観音さんと一緒にやってきたので潰すことは寂しいことですが、やはり物が剥離して飛んできた場合にはみんなに被害があるので仕方がないと思っています。

また町の人は―

「漁していたら目印になるのでちょうどよかったが、壊れること思ったら仕方がないと思います」
「はじめは人気あってたくさんみんな見に上がっていたが一度も行ったことがない。いつも地元にあるから『いつかはな』と思っていたが『いつか』が無くなってしまった…」

消えてしまう観音像に人一倍寂しく感じているのは地元町内会会長の五条さん。当時の思い出をこう語ります。

(淡路市釜口津田町内会長 五条勉さん)
観光バスとかが何台も入ってきてね。うちも牛乳屋で飲料販売しているから、自動販売機とか納品とかあった時にはものすごくはやっていましたね。
展望台の方から上がってみたらいい景色ということで、(対岸の)和歌山の方の会社の煙突とか煙が上がっている。そんなのはものすごく見えてましたね
田舎で観光客がたくさん来るというのは当時からしたらありがたい話でしたね。地域も何らかの形で潤ってきたということもありました。

解体はおよそ100メートルの高さにある頭部から外壁を小さく切り分けながら、空洞となっている塔の下へ落とすことになっています。

(工事業者)
安心してもらえるように早く何事もないような形で進めれたらいいなと思っている。

像の解体の後、台座部分や基礎なども撤去される予定です。

跡地について市長はこう話します。

(淡路市 門康彦市長)
国と県と市の合議体のようなもので除却した後をどうしようかと今研究している段階ですね。
どういう風にしたらいいか、というのはある意味楽しみでもあるという。そういう状況です。気持ちとしては夢のあるものにできたらいいなと思っています。

観音像はことし6月までかけて解体され、来年の2月には全ての工事を終える予定となっています。

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