2022年01月28日(金曜日) 11:13 地域・まち報道特集・ドキュメント

【特集】「テレビで見るようなシーンが目の前で」14万羽殺処分 鳥インフル確認の養鶏所の今

  • 北坂養鶏場

  • 人気の「たまごまるごとプリン」

  • ニワトリの殺処分を行う作業員

  • ニワトリがいなくなった養鶏場

  • 養鶏場に入る車両を洗浄する北坂さん

  • 神戸のファーマーズマーケットの仲間

2020年、兵庫県淡路市で県内で初めて養鶏場の中で鳥インフルエンザが確認されました。
発生からおよそ1年、厳しい現実と向き合いながら再出発する北坂養鶏場を取材しました。

鳥インフルエンザ確認から1年間の記録

(北坂養鶏場代表 北坂勝さん)
「鳥がいなくなったところから順番に時系列で並べている。大変だった。不安ですね、当時はどうなるかわからなかった」

ニワトリの平飼い小屋に並ぶパネル。淡路市の北坂養鶏場の1年です。

卵丸ごとプリンが人気!

兵庫県の淡路島で唯一卵をつくる北坂養鶏場。
経営者の北坂勝さんは、事業を父から継承しました。
ピーク時には、およそ14万羽のニワトリを育て、毎日10万個にのぼる卵を生産。
大阪のスーパーマーケットなどに卸しています。

北坂さんは、純国産のニワトリをひよこから育てていて、
生みたて卵のほか、卵を丸ごと使ったプリンが人気を集めます。

(訪れた人は)
「卵プリンが有名でおいしいということで、買いに来た」

「月に2回くらい近所の人の分も全部買っている。安くておいしい」

(北坂養鶏場代表 北坂勝さん)
「卵はどこでも買える。わざわざこんなところまで楽しみにしてもらえるのはありがたい」

商品棚に並ぶ多くの卵。ここまで育てるには大変な苦労がありました。

14万羽のニワトリを殺処分 受け止められない「現実」

2020年11月、北坂養鶏場で高病原性の鳥インフルエンザが検出されました。
感染を広げないために、北坂さんは県の要請に従い養鶏場で飼っていたニワトリおよそ14万羽をすべて殺処分。
養鶏場からニワトリがいなくなりました。

(北坂養鶏場代表 北坂勝さん)
「テレビで見るようなシーンが目の前で進んでいった。
時々現実なんだと思いながら、やらないといけないことをこなしていく。そんな毎日だった」

力を貸してくれた従業員 対策にも力を入れる

現実を受け止める余裕すらなかった北坂さん。
事業の継続を思い悩む中、力を貸してくれたのが従業員でした。

(従業員)
「鳥インフルエンザになったけどみんなで再開へ。養鶏場を守ろうですね」

「前より養鶏場をみんなで盛り上げていけたら良いなと思います」

発生からおよそ1年。
今は、養鶏場の敷地内に入るすべてのものの消毒を徹底。
卵工場の機械はすべて入れ替え、清掃も小まめに行います。
そして、養鶏場には、およそ12万6000羽のニワトリが戻ってきました。

(北坂養鶏場代表 北坂勝さん)
「防鳥ネットを張るなどの作業をスタッフが頑張ってくれて、飼育の許可が出て再開できるようになった。
 鳥インフルエンザで残念というより一致団結した」

支えてくれる人たちに背中を押され再出発

この日、北坂さんは、神戸を訪れました。
地元の旬な食材などが集まる、ファーマーズマーケットに出店するためです。
マーケットの仲間たちも北坂さんが戻ってくるのを待ち望んでいました。

(神戸ファーマーズマーケット 小泉亜由美理事)
「立ち上げの時にお声がけさせていただいて、毎週一緒にやっている仲間。
 きっと帰ってこられると思って待っていました」

(北坂養鶏場代表 北坂勝さん)
「直接会って販売しているところとかはそんなに変わっていないけど、
 大口で納めているところとかは売り上げなど半分以下」

「可能性とチャンスはいただいているので後は僕ら次第」

道半ばではあるものの、戻りつつある日常。
窮地の中でも支えてくれた人たちが北坂さんの背中を押しています。

LINE

あわせて読みたい

広告

広告

広告

PAGE TOP