2021年、兵庫県神戸市で妻を刃物で刺して殺害した罪に問われた80歳の男に対し、神戸地裁は妻から心中の同意が得られていたとして承諾殺人罪を適用し、執行猶予付きの有罪判決を言い渡しました。
無職の男(80)は21年5月、神戸市西区の路上に止めた車の中で、妻(当時81)の首や腹を包丁で複数回刺して殺害したとして、殺人などの罪に問われていました。これまでの裁判では、妻の介護に追われた男が心中を持ち掛け妻がそれを承諾していたかどうかが争点となっていました。
この日の裁判員裁判の判決で神戸地裁の野口卓志裁判長は、男が心中を持ち掛けた際、妻が「あんたが死んでくれるなら私も死ぬ」と話していたことなどから、殺人への同意があったとして、承諾殺人罪の適用を認定。
また、「最悪の手段を選択したことは短絡的だった」と指摘した一方、「昼夜問わず介護を続ける中で疲弊し、冷静な判断ができなかった点は同情すべき余地が多い」として、男に懲役3年、執行猶予5年を言い渡しました。