阪神淡路大震災では、6434人(921人が関連死)が亡くなり、3人が行方不明です。 1996年の当時の厚生省の調査では、5488人のうち8割が建物の倒壊などによる圧死と窒息死でした。阪神淡路大震災の教訓について、人と防災未来センターのボランティアスタッフ、野村典生さんに聞きました。
阪神淡路大震災の教訓【1】家の耐震化
野村典生さん
「10万4000戸の家が全壊です。そのうちの大半が壊れた。1981年以前の古いおうちがバタバタと倒れた」
野村典生さんは、人と防災未来センターで2002年の開館当初からボランティアスタッフとして、震災の教訓を伝えています。
「1981年以前のおうち、地震に対してちょっと弱いつくりですよということをご理解ください」
1981年以前の建物は旧耐震基準で、震度5程度の揺れでも生活できるように建てられていますが、震度6や7の揺れは想定して建てられていません。阪神淡路大震災では、現在の耐震基準を満たさない建物に被害が集中していました。
少しでもリスクを減らすためには、家の耐震性の強化と家具の転倒防止が重要です。1981年5月31日以前に建てられた建物は耐震診断が必要です。耐震診断は市や町によって補助制度を活用することができ、まずは自分の家は大丈夫かどうかチェックが必要です。
阪神淡路大震災の教訓【2】家具の固定
阪神淡路大震災では、タンス、本棚、仏壇、ピアノ、テレビが転倒したことによって亡くなった人もいました。
「家具というものは大きな地震が起こると飛び交います。場合によっては凶器になります。お休みになるところには大きな家具を置かないと」
もし寝ている場所に重たい家具が倒れてきたら…。
「この壁の後ろに柱があれば、固定する。金具で固定する、ひもで固定する。ところが、最近のマンションになりますと、柱がありません。合板です。なかなかつけづらいということで、突っ張り棒を置くことで大きな地震が来ても外れないと」
金具は薄い壁だと、抜けてしまいます。柱を見つけて固定すること。突っ張り棒も天井が薄いと効果がありません。
「特に日本の家屋はですね。一戸建ての普通の木造住宅だと、天井が杉板で薄い。もし、突っ張り棒でやっていると、逆に突き破る可能性があり効果が半減します」
他にもこんな方法が!
「箱には夏物の衣料が入っています。シーズンが変わると冬物が入っています。天井とタンスの間にギリギリのサイズの箱を入れる。すきまがある箱を置いたら意味がありません。落ちてきます。ギリギリのものを置くことによって。多少動きましたが効果があるんですよ」
完全に防ぐことはできなくても、身を守る時間を稼ぐことはできます。地震で命が助かっても、家具でドアが塞がれてしまえば、その後の火事や津波の逃げ遅れにつながります。家の中の家具や家電の位置を確認するようにしましょう。