兵庫県神戸市中央区・小野浜公園。ホームレスや生活が苦しい人たちを対象に、週に3回ボランティアが炊き出しを行っています。2021年はコロナ禍で一時炊き出しは中止になりましたが、10月から再開しました。
(カトリック社会活動神戸センター 山野真実子代表)
40~50代が利用されるようになって、人数も少し増えていると思います。コロナで仕事がと、生活に困窮している人が多いと思います。
12月の寒空の下、集まったのは約80人。 ほとんどの人がホームレスではないものの、生活が苦しいと訴えていました。
(70代男性) いつもおいしいわ
(60代男性) 清掃とか警備の仕事ですが、仕事がなくなったりね
(70代女性) お金が全然なくあんまり食べられへん。ここだと多少栄養があると思って
令和の時代、食べることすら困っている多くの人の姿。
(山野代表)
ホームレスになる前の人と炊き出しを通して関わりを作って生活相談などにつなげていく。物をあげたりもらったりという関係だけじゃなく。
2年も続くコロナ禍。しかし、ホームレスの人の数は神戸市では過去最多の355人だった2000年以降、2021年は45人まで減っていて、数字上は新型コロナの影響はみられないといいます。
神戸市だけでなく、兵庫県内全体でもホームレスの人は減っています。
(神戸市 福祉局保護課 渋谷和宜課長)
ホームレス自立支援法(2002年)や生活困窮者自立支援法(2015年)が施行され、神戸市でも一時生活支援事業として住まいがない人にいったん宿泊施設なんかに入ってもらい、住まい探しを支援する事業を開始しています。
新型コロナがホームレスの数に影響があるかは今のところはみえていない状況ですが、現在はまだ路上では生活してなくても、例えばインターネットカフェだったり、24時間営業の店で暮らす人に支援をどう届けるか。
神戸市は各区役所に「くらし支援窓口」を設けているので積極的に相談してほしい。
一方で、ホームレスの人がいた場所に「排除アート」と呼ばれるものが設置される事例もあります。
芦屋市公光町の芦屋川もそのひとつ。 立ち入ったり寝転んだりすることができないような、小さな先の尖った石がいくつも置かれています。
市民からは小さな子どもや高齢者などが転んだらケガをするのではと不安な声も聞かれました。
管理する県は、記録が残っていないためこのような形の石が敷き並べられた意図は分からないとしています。
大みそか。神戸市中央区の東遊園地。
(ボランティアの女性)
年越しそばでございます。おいしいですよー。
阪神淡路大震災以来続く、炊き出しや生活相談を行う「越年越冬活動」。この日も変わらず精力的に活動する山野さんの姿もあります。
2021年、最後の日。都会の真ん中で、食べ物を求める人の行列ができます。
(年金生活の女性)
12月28日から毎日来て4日目。コロナで仕事がないし年金が少ないし困るから来てるそれだけ。
(山野代表)
毎年毎年これで27年やってきました。ここで一緒に炊き出しを食べて知り合いになって。
きのうもあったんですよ、法律相談につながった人が。少しでも失った生活の取り戻しができるよう、炊き出しは入り口として大事。
コロナ禍でも久しぶりに帰省や旅行を楽しむ人も多く、街はにぎやかだった2021年の年末。
取材の最後、記者は病気で働けず生活保護を受けているという男性に対し、ことしはどんな1年だったかと深く考えずに尋ねてしまいました。
(生活保護の男性)
1年どころか、何年か大変。毎年毎年、毎月毎月、大変。