神戸市は11月、灘区の王子公園の再整備について発表、10日からホームページで市民の意見を募っています。開園から70年。長く市民に愛されてきた公園には、その発表から賛否両論、様々な声が集まっています。

パンダ「タンタン」で有名な動物園を中心に、アメリカンフットボールの聖地として毎年試合が行われるスタジアム。また陸上トラックなどの運動場やプールなどの運動施設も併設し、休日は多くの家族連れでにぎわう人気スポットとして愛されてきました。

王子公園の歴史は古く、今から70年前、1951年に開園。また、その5年後の1956年には公園の西側に、競技用の50メートルプールを併設したスポーツ施設も開設しました。

長い歴史を刻んできた王子公園。その様子を今に伝えるのが動物園内にある遊園地です。小さい子供が遊べる施設がたくさんあります。しかし今回のリニューアルでこの遊園地も廃止されることになっています。

今回の再整備計画が発表されたのはことし1月。神戸市の久元市長は、老朽化が進んだことを理由に、公園を新たな地域のシンボルとすると共に大学などを誘致する考えを明らかにしました。

そして先月インターネット上で発表された再整備案では、更にふみこんだ公園のリニューアル案が示されています。

リニューアルされる王子公園はどのように変わるのか。およそ19ヘクタールにもおよぶ公園の再整備の内訳です。

フットボールスタジアムと北側のサブトラックは廃止され、大学が誘致されます。そして公園の核となる動物園は「都市型動物園」にリニューアル。遊園地のエリアには立体駐車場が設置されるほか、西側に位置する屋外プールも廃止され、動物園の一部として再整備されます。

ところで神戸市では現在、生き物が見学できるリニューアル中の施設がすでにひとつあります。「須磨海浜水族園」です。

1957年に開園し、市民に愛されてきた施設ですが、老朽化などを理由に再整備。リニューアル後はシャチのショーを誘致。観光を意識した方向性をすでに発表しています。

このリニューアルを疑問視しているのが、元園長で現岡山理科大学の亀崎直樹教授です。

（亀崎教授）
シャチは儲かるねということのでしょうね。利潤追求型に違いない。ある程度品がいいように行政が導かないとと思うんだけど、金が稼げそうだという方向に向いてしまうのは人類を劣化させますよね。そのへんが問題だと思う。
行政が作ると人間のために、つまり儲かるように人が来るようにとなっちゃうんだけど、トップがやはり動物が好きじゃないといけないですよね。動物を使おうとしか思わなかったら動物園とか水族園とかはかわいそう。そこの動物たちはね。

一方、神戸市は新しくなる王子公園を、大学施設や新スタジアム、そして動物園を核にした新たな文化拠点として位置づけたいと考えています。

（神戸市 未来都市政策課 工藤貴三さん）
（リニューアルにあたっては）動物に関する配慮を当然していく必要はあるだろうと考えている。
阪神間を代表する優れた景観を有しているところであるといったことで、こういったポテンシャルを生かした公園の再整備をしてきたい。
この度プールとか遊園地についても、今後王子公園を再整備する中で残すのかどうかということを議論し、いったん廃止する案を出した。土地の有効活用を考えて全体的なゾーニングであるとか配置する施設に関して提示させていただいている。

王子公園と歩みを続けてきた地元・灘区の水道筋商店街で、今回のリニューアルについて意見を聞きました。

（街の人たち）
「（リニューアル）まだまだ先やろうと思って特に何も。（プールとかも無くなるのですが）えっ、そうなんですか？あの辺も？いやいや困りますよね。よく利用してるし子どもも。壊さないでほしいですよね。」
「動物園の中の遊園地も無くなるんですよね。寂しいです。」
「サクラのときに観覧車ありますよね。上から見るとキレイんですよ。（それがなくなるとしたら？）うわぁーどうして？」
「動物園は僕はあんまり新しくする必要なはいと思う。ちょっとした憩いの場所がオフィスとは言わないが、ちょっと違う町になってしまうのかなと思うと、それでいいのかなと思う気持ちはないではない。」

久元市長は9日の会見で広く市民の意見を募ると話しています。

（久元市長）
全体の再整備がやはり必要です。その中で施設が老朽化しているのが競技場でありプールでありテニスコートですね。
あわせて動物園は昔から市民の皆さんに親しまれてきましたから、パブリックコメントの中でもご意見というものもしっかり頂戴できればと考えている。

王子動物園誕生から70年。市は老朽化した公園をリニューアルし、新たな魅力を作り出すとしています。どのようなリニューアルがされるのか？神戸市では10日から市民の意見を募集しています。