2021年12月03日(金曜日) 11:39 地域・まち報道特集・ドキュメント

日本酒で飲酒運転根絶へ 加西市の蔵元が啓発

新型コロナウイルスの感染状況が落ち着き、お酒を飲む機会が増える中、飲酒運転による事故も増加しています。ときに命まで奪う飲酒運転。加西市の酒造会社の蔵元が根絶に向け啓発活動に取り組んでいます。

(Youtube動画)
お酒は楽しく飲んでもらいたいです。飲酒運転は犯罪ですが、お酒はおいしく何も悪くありません。
飲酒運転は絶対にしない、させない。

飲酒運転の根絶を訴えるのは、加西市にある三宅酒造の7代目蔵元・三宅文佳さん。警察から飲酒運転根絶のキャンペーンの依頼を受け、お酒を作る立場から啓発活動に務めています。

(三宅さん)
ここが酒蔵です。お酒を造っています。文政2年創業で、来年で創業203年目になります。
ここから向こうが200年前の蔵がそのままになっていて、現在は使っていないんですけど、現代の柱は四角みたいなかんじですけど、これは丸柱そのまま使っているので歴史を感じさせます。

三宅さんはドイツでの語学留学をきっかけに、2年前に事業の継承を決めました。

(三宅さん)
ベルリンの人って正直だから、「酒っておいしくないよね」って言われることがしばしばあった。
でも、ちゃんと品質管理しているお酒を飲ませると「どういうお酒なの?」というふうにたくさん質問されて、ポジティブな反応をもらえるようになった。自分の家業の酒蔵の価値を再認識した。

経営者でありながら、現場で酒造りにも取り組みます。

(三宅さん)
お酒造りのことをわからないと経営はできないと思っているので。蔵の下っ端として働きながらお酒のこと、これが何日の炊け具合とか麹の破精っていうところから教えてもらっています。

三宅さんにとって蔵元としての初仕事となったのは、飲酒運転根絶を訴える日本酒造りでした。

日本酒「飲んだら乗るな」は、加西市産の山田錦を使った純米吟醸酒で、100本限定で製造。ラベルには監修した加西警察署の名前も入っています。

(三宅さん)
加西市九会地区のお米を100パーセント使ったまじめなお酒です。
お酒のうま味を大事にしていて、濃醇なお酒のうま味だけのお酒だったらしんどくなるから、それを酸で引き締めるようなお酒に仕上げています。

兵庫県警によると、ことし1月から10月までの飲酒運転による事故は68件に上り、このうち8人が死亡しました。取締件数も緊急事態宣言が解除された10月から急増しています。

わずか1杯でも飲めば車は凶器となり、多くの人を巻き込む事故にもつながるのです。

(加西警察署交通課長 鈴木義則さん)
知らない間に飲酒運転をしてしまったという過失めいたことは絶対ない。
(飲酒運転は)凶悪犯罪ということを理解してもらって、取り締まりと啓発活動の両輪で進めていきたい。

警察と酒造会社が手を取り合い始めた新たな取り組み。地元の飲食店にはすでに商品が並んでいます。

この日、三宅さんは加西署の警察官らと飲食店を訪れ、飲酒運転の根絶を呼び掛けました。

(お食事処いづみ 辻江美さん)
口に出さなくていいので。飲み終わったら玄関先に置いておこうと思って。

日本酒「飲んだら乗るな」の売り上げの一部は、「ひょうご被害者支援センター」に寄付されます。

(三宅さん)
飲酒運転が起きるとお酒が悪者になってしまうし、消費量も落ち込む。お酒を楽しもうという気持ちにならない。
飲酒運転根絶大使という活動や「飲んだら乗るな」という商品を通して、お酒はおいしく楽しく飲んでほしいとい
うことをPRしつづけていけたらなと。

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