2021年10月03日(日曜日) 19:14 地域・まち報道特集・ドキュメント

殺処分を防ぐ 保護犬と保護猫の命を守る取り組み

様々な理由で飼い主に捨てられるなどした犬や猫がいます。神戸市では、保護された動物のうちの1割から3割が殺処分されています。保護された犬や猫の命を救う取り組みを吉本美咲アナウンサーが取材しました。

神戸市西区のペット共生型障がい者グループホーム「わおん」。ここはペットと障害者が一緒に暮らす施設です。
犬や猫とのふれあいを通じて、入居者に癒やしの効果を与えようと開設され、全国に600以上の拠点があります。知的障害がある、みきさん。グループホームに入居してから1年が経ちました。柴犬のゆいと暮らしています。
吉本アナ「いつもどんなことをしてゆいと遊んでいるんですか?」
みきさん「ボールとか色々。」
実は、この施設のペットは、飼い主に捨てられるなどした保護犬や保護猫なんです。
岡山県のブリーダーのもとに産まれた柴犬のゆいは、子どもが産めないことを理由に飼い主から手放され、ホームが引き取りました。ケージの中での生活から一変。この施設に来てからは散歩などで運動量も増え、体つきもよくなりました。
グループホームの担当者「(ゆいは最初)とにかく吠えてました。誰が来ても吠えてました。それくらい最初は慣れなくて、大変でした」

様々な事情から飼い主に捨てられた犬や猫。新たな飼い主との出会いの場を設けようと、神戸で保護猫の譲渡会が開かれました。主催者は会場に来られない人のためにSNSなどで猫の様子をアップし、出会いのチャンスを広げています。
吉本アナ「(コロナ禍の)譲渡会は?」
譲渡会の担当者「ものすごく申込があった。本当に猫が欲しい人が予約制で来るので、人数は少ないですけど、譲渡が決まる確率は悪くない。」
一方で、譲渡が決まったとしても安心はできないといいます。
譲渡会の担当者「今までになかったのが、1日とか3日とか1週間で帰ってくるのが増えたんですね。子どもが学校に行っていないから暇だとか、お年寄りの方が家から出られないから暇を持て余して飼いたいとか。もの扱いされているっていうか、おもちゃじゃないんだからとすごく思いますね。」

「処分場」と「譲渡場」を分離 神戸市が人と動物の共生を目指す施設を新たに整備

失われる動物の命を救おうと、行政も動き出しています。神戸市北区に人と動物の共生を目指す新たな施設が整備されました。
吉本アナ「可愛い猫ちゃんがいっぱいいますけれども、こちらはどういった部屋ですか?」
神戸市担当者「猫をもらっていただける方が、ここで猫と一緒に遊んでいただく。最終的に猫を飼えるかどうかマッ
チング、お見合いをしていただく部屋です」
こうべ動物共生センターは動物とのかかわりを通じて、市民の健康や心の豊かさを育む施設です。センターでは神戸市内で保護された犬2匹と猫5匹が暮らしていて獣医師会のメンバーが人に慣らす訓練を行っています。
獣医師「じゃがは目が見えないんですけど、耳と鼻がすごくいいので、慣れた場所だったらぶつからずに歩くことができます。」
吉本アナ「じゃがくんはどうしてここに来たんですか?」
獣医師「飼い主の方が飼えなくなってしまったのでこちらで引き取られました」
吉本アナ「早く飼い主が見つかってほしいですよね。」
神戸市では、これまで飼い主に捨てられるなどした犬や猫は「神戸市動物管理センター」で保護していました。センターでは次の飼い主を探す一方、殺処分も行っていたことから、あまり「出会いの場」として認知されませんでした。そこで、神戸市は処分する場所と動物を譲渡する場所を分けイメージの転換を図りました。
神戸市・玉嵜課長「今まで行政の施設で共生と名の付く施設はなかった。動物たちといろんな立場の人が集まって幸せに暮らせるような場所の一つとしてこの施設がみんなに愛されて行っていただけたらいいかなと。」

飼い主に捨てられた犬や猫が幸せに暮らせる社会へ 人と動物の共生を目指す取り組みは今後も続く

仕事を終えたみきさんがグループホームに帰ってきました。ゆいが出迎えます。
吉本アナ「ゆいちゃんがこうやって出迎えてくれたらお仕事も頑張れますね。」
みきさん「疲れも吹っ飛ぶ感じです。」
みきさんは、仕事で疲れていても進んで、ゆいと散歩に出掛けます。初対面の人とでも、ゆいのことであれば、自然と言葉が出てきます。
吉本アナ「ゆいのどこが可愛い?」
みきさん「懐いてくれるから。いつもペロペロしてきたりとか。」
ゆいと出会うことで、自身も前向きになれたと話すみきさん。さらなる自立を目指し、市の職員として働く目標もできました。保護犬や保護猫が幸せに暮らせる社会へ。人と動物の共生を目指す取り組みは今後も続きます。

 

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