2021年09月10日(金曜日) 18:46 報道特集・ドキュメント

ウイグル人権問題~神戸に住む男性が窮状を訴え

中国の新疆ウイグル自治区で重大な人権侵害が行われているとされる問題で、兵庫県議会は2021年6月に都道府県の議会として全国で初めて日本政府に調査を求める意見書を採択しました。

ウイグル出身で神戸に住む男性に話を聞きました。

神戸市に住むバイユズ・マウランさん。
去年1月にトルコから就労ビザで来日し、家族5人で暮らしています。
ことしの5月以降、マウランさんは故郷のウイグルにいる妹と連絡が取れない状態が続いています。

「メッセージを送っても受け取られない。エラーが出る」
「お父さんが亡くなった日も…。何が起こっているのか分からない…」

マウランさんの父はことし2月に、ウイグルで亡くなりました。
しかし、マウランさんはウイグルに帰ることもできず、詳しい状況は分かっていません。
「最低でも人口の3分の1は強制収容所に入ったという…。
ウイグルというものがこのままでは2、3年後に消えてしまう。完全に」

中国の北西部に位置する新疆ウイグル自治区では少数民族のウイグル族に対し政府による拷問や強制労働、強制収容などの重大な人権侵害が行われているとされ国際的な問題になっています。

経済界でも、問題は深刻化しています。
オーストラリアのシンクタンクは去年、ウイグル産の綿花が強制労働の元に生産されたものであると指摘。日本の大手アパレルメーカーなども生産ルートの確認や対応に迫られています。

ことし6月、兵庫県議会は日本政府に対し、ウイグル問題に関する調査を実施することなどを求める意見書を都道府県の議会として全国で初めて採択しました。
7月には埼玉県議会でも意見書が採択されるなど、全国の地方議会で同様の動きが進む一方、国会での非難決議は見送られています。

窮状を訴える声は各地で広がりを見せています。
この日、神戸で行われた抗議活動には関西圏で暮らすウイグルの人や支援者などが参加し、少しでも状況を知ってもらおうと必死の思いで道行く人たちにビラを配りました。

ハリマト・ローズさん:
「”ウイグルのきのう、きょうの香港。あしたの日本か台湾”かもしれない。
隣の国のこの人権に対する犯罪を無視してはいけないと思います」

現在はトルコ国籍のマウランさん。
飲食関係の仕事をしながら正規の就職先を探していますが、将来的にどこで安心した生活ができるのか、不安を感じています。

バイユズ・マウランさん:
「トルコも変わってきて中国の経済関係でウイグル人が住みにくい危険な国になっている。私たちは人間を何百人も殺されて内臓移植して使われたり、動物もこんな扱いは無い。
ウイグルが独立するまで、日本で亡命や滞在ができるようにチャンスをつくっていただきたい」

マウランさんはアジアの先進国であり民主主義国家の日本で学びたいと思い、2003年に留学で来日し、長期滞在は今回が2回目だということです。
経済的な面よりも人権の問題として、日本にも毅然とした対応をとってもらいたいと、マウランさんは話していました。

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