2021年08月25日(水曜日) 16:24 地域・まち

なぜ?ため池は危険なのか… 潜む事故や災害のリスク

 

3分の動画で防災を学ぶコーナーです。今回は、不用意に近づいてはいけないため池の危険性についてです。

毎年20人から30人が水難事故で命を落としているため池。なぜため池が危険なのか?長岡技術科学大学大学院教授で水難学会の斎藤秀俊会長に聞きました。

(水難学会 斎藤秀俊会長)
1人でなんとか上がろうと思って、上がれるだろうとチャレンジするが、結果として上がれない。それがため池なんです。

水難学会の事故調査委員会は、死亡事故が起きたため池で実証実験を行いました。すると…。

(斎藤会長)
ちょっと水の中に足を入れた瞬間に滑って落ちていった。これが現実なんです。

一般的なため池の傾斜角度は30度程度。一見すると歩いたら上がれそうですが、水の中では浮力が生じ、足が地面にくっつかず、実験では様々な方法を試しても上がることができませんでした。

(斎藤会長)
日ごろから鍛えているレスキュー隊員でも上がれない。一生懸命上がろうとする。ズルズルって落ちる。上がろうとする。ズルズルって落ちる。これを繰り返しているとちょっとしたきっかけでもうちょっと深いところに入っちゃうということになると、そこでおぼれてしまう。

(訓練に参加した水難救助隊員)
今指先を一番グリップの効くブロックの角に引っかけようとしたが、それでも滑ります。

こちらは、重さ18kgのポリタンクを子どもに見立てた実験です。助けようと飛び込んだ人も亡くなる事故が相次いでいて、過去にはプロの救急隊員が犠牲になったことも。

(斎藤会長)
みんなこれできるだろうと思ってね、我々も実証実験やった。けど無理でした。間違いなく無理。絶対と言っていいほど無理。

助かる方法は119番通報でプロの救助を呼ぶこと。そして背浮きで救助が来るまでチャンスを待つことです。

(斎藤会長)
ちゃんと浮けていたらならば、邪魔しないで早く119番通報を呼んだ方がいい。浮けなかったらもう沈んでいるので、何をしてももうだめ。

ロープがあっても池の中に引きずりこまれるため素手では引き上げないこと。何よりも大切なのは、釣りを含めて不用意にため池には近づかないことです。

兵庫県内には、全国で最も多い2万4000カ所のため池があります。現在、古いため池の耐震化が進められていますが、地震や大雨で崩壊した場合、内陸津波が発生する危険性があります。

兵庫県は、CGハザードマップでため池のハザードマップを公開していて、浸水想定地域と避難場所を表示しています。皆さんの家の上流にため池があるか。そして、どこに逃げるべきか改めて確認が必要です。

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