当時17歳だった少年が11年後の28歳の時に逮捕されたことは事件においてどのように考慮されるのか?少年法に詳しい弁護士に話を聞きました。
兵庫県弁護士会子どもの権利委員会委員長で六甲法律事務所の松田昌明弁護士は?
(六甲法律事務所 松田昌明弁護士)
当時少年だった人が殺人に関わる件数がそもそも多くはない。今回のように10年経ってから逮捕されるケースが珍しいので、そこが組み合わさったケースとして、非常に珍しいケースではないかなと思います。
―当時17歳の少年で現在28歳の男について。もし起訴されたら?
(松田弁護士)
基本的には成人と同じような手続きの流れになります。
少年事件として家庭裁判所に送られて逆送というわけではなくて、成人として今後逮捕勾留されて検察官が起訴するかどうかを判断して起訴された場合にはこのまま殺人罪で行けば、裁判員裁判にかけられるという流れになっていきます。
裁判までの流れは同じでも、当時17歳であったことから少年法第51条が適用されます。死刑判決を言い渡す場合は無期懲役に。無期懲役を言い渡す場合は有期懲役に減刑されるそうです。
―当時17歳。11年間捕まらずに現在28歳で逮捕されたことも考慮されるか?
(松田弁護士)
事件後の事情として、事件後どういう生活を送ってきてどういう状況やったのかということについてはある程度裁判でも明らかにされるでしょうし、それはひとつの事情として考慮されると思います。
また、名前や顔写真を公表してはいけない少年法第61条(推知報道の禁止)が適用されます。
―警察発表では匿名でした。28歳ということで、「改善更生や社会復帰」という観点に当てはまらないが、匿名がふさわしいのか?
(松田弁護士)
そこは実名で報道する意義が果たしてどこまであるのかという問題と、事件当時発達が未熟な少年であった。多少年数が経っていたとしても事件当時少年だったことを考慮して、今後の更生をどこまで配慮していくのかというところの比較衡量になろうと思います。