■女子選手のあこがれに
プロ野球・阪神タイガースが設立した「阪神タイガースWomen(ウィメン)」が6月5日、初の公式戦を迎える。
タイガースWomenはクラブチームで、今年2月から活動を始めた。
ユニホームは“兄”と同じタテジマだが、背番号が少し大きめ。黒地にラインが入ったユニホームもある。
メンバーは社会人や大学生ら18名。うち5名は球団職員として「タイガースアカデミー」で子どもたちに野球を教えている。
またメンバーのうち11名は「日本女子プロ野球機構(JWBL)」に所属していた。
キャプテンを務める三浦伊織(愛知県出身 29歳)はJWBLで唯一の500本安打を達成。通算打率も.383をマークした“レジェンド”だ。
主力投手の植村美奈子(京都府出身 28歳)はJWBL2位の通算66勝を挙げた。クロスファイヤーと多彩な変化球をあやつる。
また同じく主力投手の坂東瑞紀(広島県出身 27歳)と、大型打者の高塚南海(みなみ 滋賀県出身 24歳)は、かつてJWBLの「兵庫ディオーネ」で活躍した。
■練習試合は6勝2敗
タイガースWomenは4月から、大学・クラブチーム・男子中学生チームなどと練習試合を行った。
大体大との初の練習試合(4月10日)には全6投手が登板し、サヨナラ勝ちで幸先良いスタートを切った。
練習試合では三浦がコンスタントにヒットを飛ばし、投手陣は安定した投球を見せたが、大量点を奪った試合は少ない。
■初公式戦が楽しみ
タイガースWomenは6月5日から始まる「関西女子硬式野球連盟選手権ラッキートーナメント」に初参戦する。
高校・大学・クラブチームなど27チームが参加。
タイガースWomenは1回戦で企業チームの「WELFARE(ウェルフェア)」と対戦する(和歌山・田辺スポーツパーク野球場)。
初の公式戦を目前にした5月30日、阪神鳴尾浜球場での全体練習を終えた野原祐也監督(阪神在籍2009~12年)に話を聞いた。
「全体練習が週1回しかできないので、連係プレーを中心に取り組んだ。
アドバイザーとして木戸克彦氏(元・阪神二軍監督、女子日本代表のヘッドコーチを務めた)にも見てもらっている。
飛距離が伸びるなど選手のレベルは当初よりアップしている。
初戦は注目され緊張するが、頭の中で準備はできている」と野原監督は語った。
また三浦キャプテンは「試合が楽しみです」と笑顔を見せた。
■ライオンズとの戦いも
タイガースWomenはラッキートーナメントのあと、8月の「全日本女子硬式野球選手権大会」や、10月の「全日本女子硬式クラブ野球選手権大会」への出場を目指す。
これらの大会には、昨年結成された「埼玉西武ライオンズ・レディース」も参戦するため、女子の“タイガースvsライオンズ”が実現する可能性もある。
NPB12球団の中には、他にも女子チームに関心を持つ球団があると言われている。
将来、12球団の名前を冠した女子チームがいくつも誕生するかもしれない。
(浮田信明)