〇神戸の医療は災害のような異常事態
病院への搬送が決まるまで最大7時間43分。
神戸の医療は、災害のような異常事態が続いています。現場で対応にあたる救急救命士が語る市民への訴えです。
保健所職員の電話 「送管されているんです。血圧が下がりつつあって重症病床への転院が必要です」
新型コロナ患者の入院調整が行われている神戸市保健所。
入院が必要な患者を 緊急度が高い順に振り分けるなど、まさに災害レベルの対応が続けられています。
〇自宅から病院への搬送が決まるまでに7時間43分
神戸市消防局の救急車
神戸市消防局消防司令補 伊藤公一さん。
指導救命士として若手の育成をするほか、新型コロナウイルスの患者や事故のけが人の搬送など、救急車に乗って現場に出動しています。
神戸市消防局によりますと、今月3日から9日までの1週間で搬送先の病院が決まるまでに4回以上の照会があった搬送困難事例は57件。
3月下旬から急増し、おととしの同じ時期と比べると4・2倍に上ります。 今月11日には、60歳代男性のコロナ患者が15回ほど受け入れが断られ、自宅から病院への搬送が決まるまでに7時間43分かかりました。
救急車4台がリレーし、酸素投与を続けました。
本部とのやりとり 「本部救急隊どうぞ。本部救急です。この事案不搬送です」
〇血中酸素濃度90%なら搬送を断らざるをえない現状
神戸市消防局 伊藤公一消防司令補
自宅で発熱を訴えた85歳の女性。
高血圧と体調不良のためで、搬送が必要ないと判断されましたが、 今、入院が必要と訴えても難しい事例が相次いでいます。
神戸市消防局消防司令補 伊藤公一さん 「50歳くらいの男性で、コロナ療養の自宅療養されている方からの救急要請があったんですけども、保健所との調整を行ったんですけども、病院が見つからないというので1時間以上かかって結果自宅で様子を見てくださいという心苦しい状態で不搬送でした」
男性の血中酸素濃度は、90%。それでも搬送を断らざるをえない異常事態です。
神戸市消防局 伊藤公一消防司令補 「(血中酸素濃度が)90%でしたら自宅でということが多いです。普段なら90%でしたら酸素投与を行って、病院に搬送しなければいけない状態にはあるんですけども、それがなかなかできない。我々救急業務としての業務が成り立っていないような状態なので非常に心苦しいんですけども。本当に病院が決まらなくて10件聞いても決まらない、20件聞いても決まらない事案が実際にある」
〇救急車は出動ごとに消毒
救急車の消毒の様子
この日は、症状が改善した重症患者を神戸の中央市民病院から酸素投与できる病院へ搬送。
出動ごとに毎回10分ほど消毒が必要で、急な要請が入った時は出動の遅れにつながります。
「毎回コロナの患者さんの時はこういう全体の車内の消毒と活動している服とかマスクとか全部1度廃棄して次の現場に向かいますので結構大変は大変です」
〇事故のけが人も搬送先がなかなか決まらない
救急車の出動の様子
神戸市では通常医療を縮小して新型コロナウイルス対応にあたっているため、他の病気の急病人や事故のけが人の受け入れも困難な事例が相次いでいます。
「交通事故の現場に行ったんですけど、その時もなかなか病院が決まらずにお願いして、今コロナで忙しいので無理ですという病院が多いのでなんとかお願いして収容を決めた事案もありましたし、周りで見ている関係者の方々も事故もできないなと言われました」
〇神戸の救急医療がひっ迫
神戸市消防局の搬送困難事例
神戸市消防局の搬送が困難だった事例です。
赤が全体の数値で、青が新型コロナウイルスの疑いのない急病人や事故によるけが人などです。
搬送困難事例の半数が新型コロナウイルスの疑いのない救急患者で、神戸の救急医療がひっ迫していることが分かります。
〇感染しない させない
神戸市消防局 伊藤公一消防司令補 「現在、医療救急体制がかなり逼迫している状態です。すぐに病院が決まらずに患者さんを待機させる現状としてあります。これを改善するにはやはり新規感染者をできるだけ減らしてコロナになることを減らしていくしかない。感染しない、させないという行動をとりつつ皆さまでご協力いただければなと思います」