2021年04月16日(金曜日) 20:04 事件・事故地域・まち

熊本地震「本震」5年 阪神淡路の教訓は生かされたのか?

2度の震度7を記録した熊本地震の「本震」から4月16日で5年です。
兵庫県社会福祉協議会の元職員で、熊本学園大学大学院教授の高林秀明さんに現状や課題などを聞きました。

2016年4月16日、熊本地方を震源とするマグニチュード7・3の地震が発生。
災害関連死を含め276人が亡くなりました。熊本地震の「本震」からきょうで5年。

【熊本県 蒲島郁夫知事 最後のお一人が住まいの再建を果たされるまで、引き続き寄り添って支援して参ります。】
熊本県によりますと、仮設住宅やみなし仮設などで暮らしている人は、先月末現在で150世帯418人。ピーク時は4万7800人が仮設で暮らしていました。

【熊本学園大学大学院高林秀明教授
99%の方が仮設から退去されているということですね。それなりに生活再建が進んできたんじゃないかなと。】

地域福祉や生活問題を研究する熊本学園大学大学院の高林秀明教授は、生活再建のスピードを評価する一方、退去した人の1割以上が思うように再建できていない問題を指摘します。

【熊本学園大学大学院高林秀明教授
形の上では復興しているような生活再建に見えても、なおも心身の健康状態が回復していないとか、再建と言われても住宅ローンを抱えていてとか、家賃も思ったような家賃ではなくて高い家賃を払って生活が苦しいと。】

熊本市東区の小学校で避難所支援にも携わった高林教授。
25年前、兵庫県の社会福祉協議会の職員として阪神淡路大震災の仮設住宅の「孤独死」の調査をしていました。

【熊本学園大学大学院高林秀明教授
1週間前にお話を聞いた方が孤独死されたというのは非常にショックでしたし、そういうことが起こるのは本当に防ぎたいなと。なんとかしなければいけないなと。なぜ起こるのかというのを解明していく必要があるなというのは改めて感じましたけどね。】

熊本の仮設や公営住宅でも35人の「孤独死」が確認されています。

Q阪神淡路の経験は熊本地震に生かされたのでしょうか
【熊本学園大学大学院高林秀明教授
私も西神第7仮設で黒田裕子さんたちが看護師を辞められてそこに張り付いて被災者の支援を。孤独死を防ごうということでされている実践も直接お話を聞いたりして学ばせてもらいましたし、その後の災害で引き継がれているというのがあると思うんですよね】
阪神淡路大震災後、コミュニティーの場として仮設住宅には集会所がつくられるようになったこと。
そして、被災者の健康や見守り、生活支援を担う「地域支え合いセンター」が熊本でも設置されたことをあげました。

【熊本学園大学大学院高林秀明教授
孤独死を防いだり生活再建、コミュニティー形成が行われるようになってきた。今に引き継がれていること。

Qまだ変わっていないなと連携というところを今、私模索していますけども。
中でも新型コロナウイルスは復興の障壁となりました。】

【熊本学園大学大学院高林秀明教授
この1年間コミュニティー再生、新たなつながりをつくるということがなかなかできなかったと。これが熊本地震の復興においてコロナの影響が相当足を引っ張っているなと思いますね。】

熊本県内でも甚大な被害があった去年7月の九州豪雨。ボランティアの多くが豪雨の被災地へと向かいました。

【熊本学園大学大学院高林秀明教授
災害公営住宅に関わって交流のお手伝いとか本当はしたいんですけど、なかなかそちらの方に手が回らないと。私この9カ月毎週2日、人吉市に行っているんですよ。学生たちと。そうなると、本当にそちらでの活動で手一杯の状況になっています。】

新型コロナによる経済的な影響。そして、人が集まれない中、どのようにコミュニティーを再生していくかが問われた1年だったと話します。

【熊本学園大学大学院高林秀明教授
これから災害公営住宅での生活が、ついの住み家として続いていくわけですから。ここで孤立を防ぐ、そして支えあいの関係をつくっていくことが、これから大きな課題というかやるべき取り組みじゃないかなと思うんですね】

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