神戸市兵庫区の「国際交流シェアハウス やどかり」。
留学や技能実習で神戸を訪れた外国人に部屋を提供したり、日本語学習のサポートを行ったりする場所です。
やどかりのオーナーでNPO法人「Oneself」の代表・中野みゆきさん(36)。
日本語教師を務めながらこれまで多くの外国人たちの暮らしを支えてきました。
元々旅館だった場所を活用し、5年前にオープンしたやどかり。
外国人が地域と関わりながら生活し、日本での暮らしを充実したものにしてもらおうと、さまざまなイベントを開いてきました。
しかし、ことしの春、やどかりは閉館の危機に追い込まれました。
(中野さん)
3月から11月ぐらいまで順調には予約はいただいてたんですけど、全部がなくなってしまって。留学生も海外からの旅行も誰も来ないし、やどかりを利用する8割9割は外国の方なので、年明けからはもうすでに誰も来ないという状況になっていましたね。
新型コロナウイルスの影響で、受け入れる予定だった留学生や技能実習生が相次いでキャンセルとなり、収入が激減してしまいました。
それでも、クラウドファンディングや企業からの食料品の提供を受け、コロナ禍で生活が苦しくなった外国人の支援を続けています。
やどかりで暮らすサンゲイ・ツェワンさん(24)。南アジアの国・ブータンからおととし4月に来日した留学生です。
サンゲイさんは新型コロナウイルスの感染が拡大すると、食品加工工場でのアルバイトを解雇されてしまいました。
ブータンに住む両親も仕送りをするのが難しくなり、日本語学校の学費が払えず、退学を余儀なくされました。
さらに退学により留学ビザの在留要件を満たさなくなり、アルバイトもできなくなったのです。
家賃も払えずアパートを出て野宿をしていたことし9月末、やどかりに保護されました。
そんなサンゲイさんに対し、中野さんはもう一度日本で暮らす道を見つけてほしいと願っています。
サンゲイさんのように困窮する留学生や技能実習生を支援するためできることはないか。
中野さんが企画したのは、企業から協賛を募り、彼らの進学費用などに充ててもらう仕組みでした。
来年からの運用開始を目指し、受け入れの準備が進められる中、久しぶりに大型バスがやってきました。
国際線の便が少しずつ再開し始めた中、9カ月ぶりの技能実習生の受け入れです。
「夢を見てこの国を訪れた人たちに寄り添いたい。」
新型コロナウイルスの収束が見えない中でも、中野さんの思いに変わりはありません。