2020年12月10日(木曜日) 15:46 地域・まち

田中希実選手がスタジオ生出演
陸上女子5000メートル東京オリンピック代表決定

木内アナ:「陸上女子5000メートル東京オリンピック代表に決まった田中希実選手です。
よろしくお願いします。
ではまずオリンピックの代表選考会となりました12月4日の日本選手権を振り返ってみて、いかがですか?」
田中希実選手:「自分自身、最後はいつも以上にしんどそうな表情してるなと思いました」

木内:「レースの前はどんな心境だったんですか?」
田中:「本当に不安の方が大きくて、楽しみというよりは、今からっていう覚悟が出来上がってるかわからない状態でした」

木内:「このレースの前も小林さんとのやり取りがあったんですか?」
小林祐梨子:「レース前の調整もどうかなと思って連絡するとやっぱり不安で苦しい。それで調子もこれはどうなのかわからないとように。さっきの言葉の不安という要素がすごく本人の中で大きかったので。第三者からみると抜群のトレーニングができてるんですけど、やはり気持ちの面で一番大きいのが不安。スタート前までに少しでも拭えたらなというのは感じてたので同じようにそわそわして。でもすごく出し切れたレースに見えたけど、どうだったかなと」

田中:「冬はいつも調子が落ちるんです。実力的にはもっと上のタイムを狙っては行きたいんですけど、今持ってる力は100%出し切れたかなっていうふうに思います」

木内:「レースのプランとしてはどういう形で行こうと思ってたんですか?」
田中:「不安だった分、特にこれと決めてはいなかったんですけど、広中選手がすごく力を持ってるので、ラスト勝負になるまで絡むだろうと思っていました」

木内:「その勝負をかけたスパートというのも最後の第3カーブですか?」
田中:「父は、加速してるのぞみには誰も敵わないからというふうに言葉を掛けてくれていたので、あの辺りから加速していったら大丈夫だっていう風に言い聞かせ、スパートしました」

木内:「小林さん、今シーズンを全体的に見てると仕掛けが早いなってイメージあったんですけど」
小林:「ラスト150メートルぐらいかなって思ったんですけれども、確信したのはいつぐらいですか?
行けるかもと思ったのは?」
田中:「抜いた時は行けるかなって、一瞬思いかけたんですけど、いつも最後の最後で私が抜かれてしまうレースが多いので。しかもゴールも周りが見えてなかったので、もしかしたら視界の外で抜かれてたかもしれないってぐらい意識が朦朧としてました」

木内:「まさに死力を尽くしてのレースだったんですね。このレース、左胸の上に喪章をつけて走られてましたけどそれはどういった思いだったんですか?」
田中:「夏、ゴールデングランプリの前になるんですけど、私の家族にとってすごく大事な存在である人が亡くなり、突然のことだったので今シーズンずっとどうしても勝ちたいという思いが強くて今回のレースも力を借りるじゃないですけど、見ていて欲しいって思いで付けさせてもらいました」
木内:「力をもらえましたか?」
田中:「はい」

小林:「その直後に1500メートル日本記録出して、続いて今回の5000も。2冠っていうことですから絶対天国から背中を押してくれてるなとすごく感じますし、何より1強と言われてたんじゃなくてその広中選手と2強争いって言われたでしょ。このプレッシャーって、半端ないと思うんですよ。
やっぱり走るのは一人、自分と向き合う競技ですけれど、もう一人存在がいるというのはかなり大きかったと思います。20歳と21歳というほぼ同年代だったので、意識って実際に調整段階も含めて全体的にあったのかなと気になりましたね」

田中:「ずっと私は意識してて、それでどんどん相手を大きくしてしまった部分、どんなに練習ができても納得できなくて」 

木内:「今回のレース前には広中選手の存在ってのはかなり気になりながらの調整でもあったわけですか?」
田中:「はい。その中でも逆に広中選手は自分のことに集中した結果負けてしまったという言い方をしてたので、気持ちの面ではやっぱり自分が負けてると思いました」

木内:「そうなんですね、試合では勝って勝負に負けたっていうような感覚でしょうか?」
小林:「ゴール後に『やったー、勝った』という言葉かなと思ったら、実はそうじゃなくて。もちろん優勝はしたけど気持ちの面ではものすごく感じました。
新谷選手も広中選手もこの熱い思いをごく間近で、生で感じてっていうのがあったので、うれしいというより、次に向けて強くなる要因がそこで得られたのかなと思いますね」

木内:「今シーズン1500と3000メートルで日本新記録を出しましたけど、こうなると5000メートルでもという思いが周りからはあると思うんですけど、いかがですか?
田中:「夏頃に新谷選手と広中選手が14分台に先に入ってるので、私もまずその仲間入りをすること、そこで日本記録とか見えてくるかなと思います」

木内:「5000メートルに関して言うと、去年の世界選手権で田中選手が日本歴代2位の15分0秒01という記録を出しました。今シーズンその新谷選手、広中選手が14分台を出して日本記録に迫ろうかというタイムを5000メートルで出しているということで、まずここも上回りたいという気持ちもありますよね」

小林:「ちなみに私はどの辺りにいるんですか?」
木内:「小林さんは日本歴代6位の15分5秒37」

小林:「つい最近まで3番にいたんですけど、この2、3、4位というこの3選手が一気に今、陸上界を変えつつあるので6番になったということですね」

木内:「オリンピック出場が決まったので今度は5000に関して、タイムという意識はありますか?」
田中:「そうですね、やっぱり5000メートルでもタイムを狙っていきたいんですけど、今回勝負のところでも弱さが出てしまったので、まず5000に向けての確固たる自信を作るところから始めていかないとと思いました」

小林:「苦しかったとレース後も言ってたし、レース前もこれだけ苦しい思いするんだったらもうここで決めてしまいたいと言って。9月4日生まれだからじゃないですよ。「苦しむ」ってノンちゃんの誕生日なんですけど。 

小林:「何が苦しかったですか?この期間なのか気持ちなのか?どういうのが苦しかったですか?」
田中:「やっぱり代表が決まる試合に向けての期間が本当に長くて。それまでの、夏のどんどん記録が出ていた時期はもうひと月ひと月があっという間だったんですけど、それが終わって前回1500の日本選手権が終わってからが本当に長くて」

小林:「あの時いいイメージで勝っていたのに、そこから試合でも思うようなレースが出来ず練習を積んでいくのはやっぱり苦しいですよね。追われる立場ですからねタイトル取って、日本記録も作って」

木内:「そんな中、他の選手は実業団や、大学のチームに所属して練習を積み重ねている中、田中選手はお父さんと二人三脚という形なんですが、そのあたりはどうでしょうかね?」
田中:「やはり父との方が相談しやすい部分があるので。私の感覚っていうのを父も自分の選手時代の経験とかも活かしながら感覚の共有っていうのがすごくできているので、それがメリットかなというように思っています」

木内:「レース後に一人でやってきたプライドと感謝の気持ちで走りきることができたと。一人でやってきたっていうのはやはりプライドにつながっているんですか?
田中:「そうですね、練習を完全に一人でやってる後藤(後藤夢。西脇工高出身)も一緒にいるんですけど、それぞれの練習メニューがあるので、私も本当に一人でスピード練習というきついものをこなしています。
実業団の選手には大概そのペースメーカーがつくので、そこは自分たちは違うというプライドがありました」
小林:「孤独ですよ。誰かチームメイトとか引っ張ってくれる人、ランニングコーチがいるとなにか気持ちがしんどくても頑張っていこうと思うんですけど。ずっと一人でこうやっていると限界を突破できてるのかというのを自問自答する日々だと思うんです。それをお父さんと話ししながらになるんですか?練習メニュー組み立てというのは」
田中:「そうですね。話ししながらというか喧嘩しながらです」
木内:「まあ、家族ですからね。そういう本音の部分で話し合えるっていうところもあるかもしれませんね。日本選手権2冠というのは23年振りということです。来年の日本選手権で1500メートルのオリンピック代表になれるかどうかというところも注目していきたいんですけど、これがまたハードルが高いんですよね」
小林:「1500メートルではオリンピック選手ゼロですからね」
木内:「これまで日本人で1500で代表になった選手、男女通じていないんです。
オリンピックに出るための参加標準記録というのがありまして、それが1500メートルに関しては4分4秒20。ですから、日本記録は田中選手が持ってますけど、それよりも早いタイムで走らなければ1500のオリンピックに出られないんです。ここはどうでしょう、目標にしたいところだと思うんですけど?」
田中:「そうです。今回の5000メートルも、ずっと世界と戦いたいという気持ちを持って取り組んできた結果得られたもので、オリンピックに出るためだけではなかったのです。それをもっと強くなりたいと思って1500に取り組んで、出場権利を得られるところまで行けたらなと思ってます」

木内:「田中さんの練習風景見ていてどうでしょう?1500メートル」
小林:「行けると思いますよ。私はオリンピックに行きたいと思ってずっと練習してたんですけど、それより違う次元で戦ってますから。
勝負するというのは日本選手権でも現れてますよ。勝っただけじゃなくて日本選手権で最高タイムですから。ということを踏まえるとやっぱり見てるところがオリンピックではなくてその上っていうのは、すごく感じましたね練習の段階から」

木内:「田中選手が大事にされている言葉、『一志走伝』という言葉があるんですね、一つの志を走って伝えるという文字で一志走伝なんですけど、どういった思いが込められてるんですか?」
田中:「父が、私が高校生ぐらいの時にこの言葉を大事にしたらいいと言ってくれたんです。走りで自分の志を伝えるという思いを持っていたら自然と結果もついてくるし、タイムや結果だけじゃない何かを伝えられる選手の方が強いのかなっていう風に思います」

木内:「今回の5000メートルに関してはどんな思いを伝えたくて走っていたんですか?」
田中:「そうですね、やっぱりさっきの喪章の話もそうなんですけど、いろんな人が見てくれている中でそれぞれ人によって、私の周りの人でも、会った時期もバラバラで、私に対する感じ方もバラバラ。そういう中で伝わるものは人によって違ったと思うんです。
でも本当にたくさんの人が感動したっていうメッセージをくださったので、何か伝えられたんじゃないかなっていうように思います」

木内:「まだまだお話を伺いたいんですが、お時間がやってまいりました。
これからトラックシーズンが終わってオフに入りますけど、田中選手の今後の目標を教えてください」
田中:「今シーズン、自分のやりたいことをやろうと思って駆け抜けることができたので、来シーズンも走ることが楽しめたら、それでいいかなって思っています」

木内:「本当にこれからも楽しんで、苦しまずに楽しんで調整してほしいと思います。今日のゲスト田中希実選手でした。どうもありがとうございました」
「ありがとうございました」

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