2020年12月09日(水曜日) 09:58 地域・まち

連日100人超え、兵庫の医療は大丈夫?
専門医の現場の声と兵庫県の対策

【藤岡勇貴キャスター】

感染が拡大している新型コロナウイルスについて、兵庫の医療をテーマに特集でお伝えします。

兵庫県は、現在、最もレベルの高い 感染拡大特別期に移行しています。初めて8日連続で100人を超えていてきょうは、145人。高止まりしているものの、予断を許せない状況です。

 

病床使用率

12月8日0時現在の病床使用率です。入院病床が68.7%、このうち重症病床が36.4%、宿泊療養施設が42.4%となっています。病床使用率68.7%、全国でも高い数値が出ていますが、なぜ兵庫がこれだけ高いのかというと、原則、自宅療養ゼロを維持しているということも1つの要因と考えられます。

 

病床使用率 他都道府県比較

厚生労働省の調査データです。最新のデータが12月2日分ですので 参考までに聞いていただけたらと思います。兵庫県は他の都道府県と違う点があります。小さい子どもがいる家庭など特別な理由を除いて原則自宅療養ゼロを維持している点です。

大阪は1700人、東京は1050人と自宅療養者が多い一方で、兵庫は病状が急変する人を守る、そして、家庭内感染を防ぐ観点から病院での入院かホテルでの宿泊療養のどちらかで原則自宅療養ゼロ。このため、病床使用率が高いという背景が考えられます。

兵庫の基幹病院に重症患者が集中している現状があります。

 

医療現場の現状

兵庫県の対策協議会の有識者委員で兵庫医科大学 感染制御部 の竹末芳生 主任教授にうかがいました。

【竹末主任教授】

(今月3日時点で)兵庫医科大学は重症例を10例診ることになっています。疑似症含めて12例は診るんですけど、結局10例というのがすぐいっぱいになってくるんですね。

【藤岡】

第3波の特徴は、人工呼吸器が必要な重症患者の増加です。長期間の治療が必要な重症患者が増えることで、ベッドの回転率が悪化。兵庫医科大学病院は工夫をして対応しているそうです。

【竹末主任教授】

阪神地域のネットワーク、コロナ対応している施設、15施設とネットワークをつくりまして そして、そこからの重症例を受ける。そしてその代わりに兵庫医大でいっぱいになっていきますので、改善したら地域のネットワークの関連の病院に患者を戻していく。兵庫医大の重症ベッドをうまく活用することで、阪神地域を守っている。

【藤岡】

Q、年末年始は医療が脆弱になる時期だと言われていますが-

【竹末主任教授】

はっきり言って例年のように年末年始脆弱にできない状況になっています。

だから医療スタッフとしては特にこういったことの治療に関わっている人間たちは、はっきり言って土日もないんですよね。だからそういうコロナの対応をしている病院では例年のように年末年始長期休暇ということはやはり難しいのではないか。少なくともこのシーズンは我々覚悟して対応するようにしています。

今でも新型コロナを扱っている病棟のスタッフはもう疲弊もしつつありますし、そしてローテンションの、普通のローテーションの時間ではやはりきついんじゃないかなと思います。

経済との両立と言われています。しかし、我々は感染制御、患者さんを救うという立場からの意見しか言えません。このまま急増していきますと、例えば、「GoTo」とか飲食とかなるべく避けていただきたいというのが我々医療現場での要望です。

【藤岡】

竹末主任教授によりますと、第2波は若い人が多くて重症者は少なかった。この第3波は人工呼吸器が必要な重症患者が増加していて重症ベッドの回転が悪くなっている。地域の病院と連携して対応している。特に重症者に対応している病院は大変な状況ですね。

 

第3波 兵庫県の方針は?

では兵庫県はどう対応するのか?県の感染症対策を担う 山下輝夫 感染症等対策室長に話を聞きました。

【井戸知事会見】

数がこれだけ増えているということもありますので、緊急に対策を追加することにいたしました。あと100程度ですね。病床確保の協力要請をして確保を図ってまいります。今月中旬には、現在の病床 650床から750床程度に。宿泊療養施設も700室から900から1000室に増やす予定です。

【山下室長】

医療現場の皆様方の多大なるご理解とご努力によって今のところは必要な方に必要な医療を届けることができていると。現在の650床体制、700のホテル体制で大体1日130人くらいではずっと続いても大丈夫だろうという試算にはなっております。

そこで病床をさらに100、それから宿泊施設をさらに200~300上積みをしますのでおそらく今の状況がしばらく続いても突然崩壊するということはないかと思っております。

【藤岡】

兵庫県は、ことし3月中旬 新型コロナウイルス入院コーディネートセンターを設置。どの病院やホテルにどれくらい空きがあるか、兵庫県全体の病院と情報を共有。患者を病院やホテルに割り振り、原則自宅療養ゼロを維持してきました。

兵庫独自の方針として、これまでは陽性患者は必ず1度入院してから無症状の人は医師の判断でホテルに移動していましたが、病床の確保や医療従事者の負担を減らすため無症状者やリスク要因の低い軽症者は、入院せずにホテルで宿泊することも認めました。

【山下室長】

すなわち軽症者なんですけれども突然重症化するリスクが大変低いであろうということでこういう方に関しましても宿泊ホテルへ直接行っていただくことも可能といたしました。これ全員行ってくださいというわけではなくてケースバイケースで宿泊療養施設に行っていただくことも可能であると。

大前提は医師が総合的に判断して大丈夫だという許可を出した方ということにさせていただいております。

【藤岡】

兵庫県は、ベッド数、ホテルの部屋数を増やすとともに、医療の負担を軽減するため、無症状やリスクの少ない軽症者は、入院ではなく今、医師や看護師が対応できるホテルで療養してもらうように変更しています。新型コロナウイルス以外の病床が減ることにつながるので、他の病気の人の命を守るためにも、今の病床数で運用がふさわしいという兵庫県の判断です。

兵庫県は、県民に対して不要不急の外出自粛、中でも高齢者や基礎疾患のある人は大阪、東京など感染拡大地域との往来を控えるよう呼びかけています。そして私たちがどのような場面で感染するのか、少しずつ分かってきました。兵庫県は、5つの場面をあげています。

1 飲酒を伴う懇親会等

2 大人数や長時間におよぶ飲食

3 マスクなしでの会話 

4 狭い空間での共同生活

5 休憩室、喫煙所、更衣室等

冬の期間は寒いですが暖房を使う場合もこまめな換気をしてください。ここまで兵庫の医療について特集でお伝えしました。

-2020年12月8日放送「情報スタジアム4時!キャッチ」より

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