記録更新から一夜明けた8月24日、サンテレビ木内亮アナウンサーが神戸空港で田中選手を直撃インタビュー。レース中の思いや今後の意気込みについて聞きました。時間の都合で放送できなかった部分もあわせてノーカットでお届けします。
-まずはおめでとうございます。一夜明けた今の気持ちを。
田中希実選手(以下田中):あらためて思ってもうれしくて、3000mの日本記録よりもうれしいです。
同郷の小林祐梨子さん(北京五輪5000m代表)の記録を抜くことができたということと、1500mは自分の中でずっと好きではあるんですけど苦手としてやってきた種目なので感慨深かったです。
-1500mのどういうところが苦手だったんですか?
田中:もともとスピードがなかったのと、駆け引きが性格的に上手じゃないので、最後に負けてしまうことが多かったので。
-逆に好きな理由は?
田中:あまのじゃくなので、上手くいかないからこそこだわってしまう。
-23日のレースで駆け引きは?
田中:駆け引きが苦手だからこそ、突き抜けるところまで力をつけて、それをしっかり出すことができたかなと思います。
-最後の一周のラストスパートは?
田中:卜部(蘭)さん(積水化学)が最後までついているのはわかっていたので。卜部さんはラスト(スパート)のある選手なので、絶対に負けたくない思いがあったからこそあそこまで出せたのかなと思います。
-レース中はほぼ先頭を引っ張っていたが、どんなことを考えながら走っていた?
田中:無心な状態だったのであまり覚えてはいないんですけど、とにかく楽しんで走りたいという気持ち。途中で足が固まってきたりもあったんですけど、いつもは気にしてしまうところを気にせずに「この先どうなってもいい」という思いで。
-日本記録達成を確信した瞬間は?
田中:ラスト100mくらいからタイム的な余裕はあるかなと思いました。
-1500mでいうと東京五輪参加標準記録(4分4秒20秒)まであと1秒
田中:あと1秒というところが大きくなってくると思う。今すぐにそのタイムを目指すわけではないんですけど、このタイムを切るつもりですぐ取り組んでいく。その先に五輪に間に合わなくてもいいので、4分4秒台やそこを切っていく気持ち。
-レース後にインタビューで涙していたが、あの涙の意味は?
田中:本当にたくさんの方に支えてきてもらったことをあらためて感じて。今回の大会があったこと自体奇跡ですし、大きい大会で観客はいなかったんですけど、選手同士とかトレーナーさんとかも、他のチームの方にもたくさん出会えた。
私にとって大事な方(父の仕事仲間)を最近失ったのもある。(その方に報告という意味の涙でもあった?)そうですね。
-シューズでレース前にトラブルがあった影響は?
田中:(規定外で)スパイクに急遽変わること自体は、ちゃんとその場に持っていたら慌てずに切り替えれたと思うんですけど、ホテルに置いてきてしまっていたので(父が取りに走り)間に合うかどうかっていうところが結構あって、そっちの動揺が大きかったですね。
-1500mと3000mで日本記録達成で、5000mの記録更新というところもあるが、次の目標はどんなところに置く?
5000mでは1500mや3000mより一番先に歴代2位の記録を出していたんですけど、逆に5000mが取り残されている状態なので、日本記録を一足飛びに目指すというよりも、まず15分を切るところから地道に目指していきたいとあらためて思いました。
-今何がしたい?
田中:特にこれがしたいということはないんですけど、25日から合宿で私の好きな御嶽山に行くので、涼しい環境で楽しんで走っていきたいなと思います。
-新しい国立競技場でのレース。走った感触は?
田中:思っていたタータンとはちょっと違っていて、でこぼこしていなくてツルッとしていた。あとジョグだと固く感じたんですけど、実際スピード出して走ってみたら結構反発があって走りやすかったです。
-新国立での日本記録第1号
田中:そういうこともあって今回はより注目が大きかったんですけど、そこでしっかり(記録を)出すことができた。歴史に残るというほどではないと思うんですけど、今のこの時期に皆さんの記憶に残るようなことができてよかった。
-小林祐梨子さんへメッセージ
田中:ようやく祐梨子さんの記録を抜くことができました。でも今までもこれからも祐梨子さんはずっと私の尊敬する人ですし、23日も走る前の祐梨子さんからの連絡のおかげで吹っ切れた走りをすることができました。本当にありがとうございました。