■レジェンドの引退
Bリーグ1部(B1)の強豪アルバルク東京で長年キャプテンを務めた正中岳城(しょうなか・たけき 35歳)が6月11日、現役引退を表明した。
正中は兵庫県出身。明石高-青山学院大を経て、アルバルク東京の前身「トヨタ自動車アルバルク」に入団し、“司令塔”であるポイントガード(PG)として13年間チームに在籍。キャプテンを10年間務め、アルバルク東京のB1連覇に貢献した。
正中はサンテレビのリモートインタビューに応えて、「(新型コロナウイルスの影響でシーズンが途中で打ち切りられたことは)すごく残念だし、結果的に自分のラストシーズンとなってしまったが、悔やむことはない。特に30歳を超えてからは、1日1日を全力で向き合いながら過ごしてきたので、全てやりきった感じがある」と語った。
「(2016年のBリーグスタート時には)五輪出場権もどうなるかわからない時だった。これからポジティブな流れの中でバスケットができるという期待感はあったが、今のようにNBAで日本人がプレーしたり、ワールドカップが注目されるとは正直、想像はできなかった」
■72点奪取が原点
正中は加古川小4年時に初めて“ミニバスケット”をプレーし、その面白さに引き込まれた。
明石高3年時のウインターカップ兵庫県予選準決勝(関西学院高戦)では、一人で実に72点を奪う獅子奮迅の活躍を見せた。決勝では強豪御影工(現神戸市立科学技術高)を圧倒。チームを全国大会に導いた。
「準決勝はもちろん憶えています。点を取らないと勝てないので、たくさんシュートを打った記憶はある。後輩たちもいっぱいパスを回してくれてシュートを打ち続けた」
「(高校での経験が)ターニングポイントになったとはっきり言える。公立校にとって全国に出ることはただ事ではない。新しい扉が開いたという印象があった。大学-社会人とバスケットに取り組んでいった原点があの準決勝と決勝だ」
■チームに持って帰る
正中はBリーガーには珍しくプロ契約をしておらず、トヨタ自動車社員としてアルバルク東京に“出向”していた。7月1日付でトヨタ自動車に復帰し新たな道を歩む。
「7月からバスケットに直接関わることはないが、また先にバスケットの現場に関われるようチャレンジしていく。選手とは違った立場で、自分がチームに持って帰れるものをしっかり学んでいきたい」
前アルバルク東京・正中岳城のインタビューは6月29日(月)午後4時放送のサンテレビ『情報スタジアム4時!キャッチ』で放送する。
(インタビュー:石村雄史)