2020年06月09日(火曜日) 18:38 地域・まち

新型コロナ「第2波」に備える 発熱患者を受け入れる病院は

神戸市須磨区で循環器を中心に診察する高橋病院。入院治療や手術を必要とする重症患者に対応する二次救急病院です。

新型コロナウイルスの陽性者を受け入れる病院ではありませんが、高橋玲比古院長は、神戸市で初の感染者が確認された3月初めから院内でも危機感が増したと話します。

(高橋病院 高橋玲比古院長)
コロナウイルスの特徴として、軽症の方は症状がなくてお見えになることもあるので、何らかの方策をとっていかないと先々大変なことになるという認識がありました。

発熱患者の診察を断る病院も多く、高橋病院では新型コロナウイルスの感染が拡大してから発熱患者の受診が増えたといいます。

(高橋院長)
実際に外来でコロナの患者さんを診断したときが3月後半なんですけど、その頃が一番慌ただしかったです。

この日、39度を超える発熱を訴える患者が救急搬送されてきました。発熱などの症状がある患者は「コロナ疑い」として診断が確定するまで細心の注意を払います。

中の空気が外部に流出しないよう設計されている陰圧ブースの中で診察。マスクにゴーグル、感染防護服を身に着けた医師や看護師が対応します。

(看護師)
(感染)防護服も足りなくて、ガウンとかも普段からたくさん置いてあるわけではなかったので、今は1回で使い捨てできるようになったんですけれど、本当に入ってきていなかった時期は1勤務で使ったりとか、そういう対応をしていました。

防護服を滅菌して使い回す、マスクの使用枚数を制限するなどして乗り切ったということです。

肺炎などを検査するCT室への動線も「コロナ疑い」の患者とその他の患者で分けています。

外来に訪れた発熱患者の問診や採血は駐車場に設置したテントで行います。さらに、患者が入院することになれば診断が確定するまで隔離する必要があるため、病棟の端にある病室を常に空けるなど対策をとっています。

(高橋院長)
重症の方をたくさん預かっていますので、リスクの高い方が多いです。病気をよくするために入院しているのに、かえって院内感染で命にかかわる可能性がありますから非常に気をつかうことではありました。

高橋院長は神戸市の二次救急病院でつくる協議会の会長を務めています。協議会の会員を対象に4月に実施したアンケートでは、回答した42の病院のうち25の病院が発熱患者を「断ることがある」や「断ることが多い」などと答えました。

(高橋院長)
当初コロナを疑わせる患者を受け入れるのは二の足を踏む病院がたくさんあったと思います。
受け入れるのに準備が完全に整っていない、受け入れることによってかえって院内感染を起こしてそれ以後の救急活動ができなくなるという危惧がありました。

高橋病院では発熱外来用のテントや陰圧ブース、マスクを含め、感染対策として少なくとも500万をかけました。

(高橋院長)
使うマスクとか防護着など資源の投入ということで、かなり大きな経済的な負担が生じている。
病院の設立主体にもよりますけれど、今の状態が続くと経済的な負担は各病院ずっしりとこたえてくると思います。

さらに、新型コロナウイルス感染拡大の長期化は医療従事者にも影響を及ぼすと警鐘を鳴らします。

(高橋院長)
普段ですと自分の命と引き換えに頑張るということはない。重篤な患者さんが来られても疲れるということはあるが。
感染への恐怖が直接治療に当たる医師・看護師の職種においてストレスがたまって、病院によってはやめていく看護師もいると聞いていますので、そういうことに結び付いていくと本当に医療崩壊になると思います。
皆さん1人1人がコロナを念頭に社会活動を一定の範囲で制限していかざるを得ない。

発熱患者を受け入れながら二次救急病院として診察を続ける。地域の医療を守るため第2波に備える日々は続きます。

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