2020年06月08日(月曜日) 16:52 事件・事故地域・まち

ネット中傷防ぐ制度改正へ 弁護士に聞く

女子プロレスのスター選手だった木村花さん。テレビ番組での言動に対して、ツイッターなどで心無い言葉を受け続け、5月、22歳の若さで亡くなりました。

SNS、会員制交流サイトの普及により、近年、インターネット上での人権侵害が大きな社会問題となっています。

総務省が設置するネット上での有害情報の相談窓口にはここ数年、年間5千件を超える相談が寄せられ、受付を開始した2010年から5年で4倍に急増。その大半が、他人の名誉を傷つけたりプライバシーを侵害する匿名の誹謗中傷です。

(川添圭弁護士)
発信者情報開示請求がなるべく早く簡単な手続きで利用できるようになれば、安易な誹謗中傷は減ってくるのではないか。

こう話すのは、ネット上での権利侵害に詳しい弁護士の川添圭さんです。

2001年に成立した「プロバイダー責任制限法」では匿名の人物による悪質な書き込みがあった場合、被害者がSNSを運営する会社などに対し、発信者の情報を開示するよう求めることができます。

ただ、実際には「権利の侵害が明白ではない」などの理由で開示されずに、裁判を経てようやく発信者が特定できるケースが多く、損害賠償請求などを行うまでに1年程度要することもあるといいます。

(川添弁護士)
通信事業者、プロバイダーや携帯電話事業者というのは通信に際してアクセスログ(通信記録)をとっていますけれども、その保存期間というのは大抵3~6カ月程度とされています。
書き込みがされてから時間がたってしまうと発信者が特定できない可能性があるというところがネット中傷の被害では一番の問題になる点だろうと思います。

泣き寝入りする被害者が多い現状に総務省は4月、有識者による研究会を設置し制度改正に向けた議論を加速。氏名や住所のほか、電話番号を情報開示の対象に加えることで発信者の特定が大幅に簡素化される見込みです。

(川添弁護士)
簡易認証するときの携帯電話番号を開示してもらうことにすれば、それをもとに契約情報を裁判手続きを経なくても調査ができるわかですから、そうすることによって早く登校した人を特定することができる。

一方、木村花さんが亡くなって以降、自分の書き込みが誹謗中傷に当たるのか不安になり弁護士に相談する人も増えていて、ルール以前に利用者のモラルが求められています。

(川添弁護士)
インターネットを悪口や誹謗中傷の場としてしまうということは、「表現の自由」「通信の秘密」を保障するためにはインターネットを活用して便利に利用していかなければならない。そうしたことに対して(悪質な投稿は)水を差す行為だと思います。
自分が登校した内容、書き込んだものがどういう影響を与えるのかについては、書き込む前にぜひ自分に問いかけてみていただきたいと思います。

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