2020年05月21日(木曜日) 21:05 地域・まち

感染症に詳しい勝田教授に聞く 緊急事態宣言解除後の生活は?

「新しい生活様式」といわれますが、これからどういう風に生活様式が変わっていくのか。渡航医学がご専門で感染症対策に詳しい、関西福祉大学の勝田吉彰教授にお話を伺います。 

Q. 新規感染者4日連続ゼロ 収束?

-兵庫県は新型コロナ新規感染者数が4日間連続(21日現在)ゼロ。「収束」といって安心してよい?

まず目先は、例えば三宮へ行って隣の人が感染者かどうか(心配しなくてよいので)、そこのところは安心してください。
ただ、これから将来これからどうなるのかというところで、第2波は例えば気温が下がったときに来るかもしれない、おそらくそれは来るであろうということを前提として私たちは考えていかなければならないと思います。

-時期でいうと第2波はどれくらいのあたりに来る?

今出てる論文で感染者数の上昇カーブになるのが、大体一番ピークになるのが0℃ぐらい。それに向けて上がっていきますから、やっぱり10℃を下回ったりというところで気を付けないといけないと思います。

-(桂あやめさん)今年はクリスマスもあまり出歩けないかもですね。

そうですね。その可能性は非常に高いと思っています。

Q. 第2波警戒! 兵庫の独自基準

-兵庫県内の新規感染者はこの1週間で2人。平均値を取るとおよそ0.3人。重症者のベッド数も兵庫県内は71のベッド数があるが、そのうちの59が空いているということで83%に空きがある。要因はどういったことが考えられるか?

やはり、ひとつは自粛等々、つまり私たち県民が一生懸命頑張った。その努力の果実が実っているんだと思うんですね。
ただ同時に考えなければいけないのは、果実っていうのは保存が悪いと痛みますよね。だから3密を避けるとか手洗いとか咳エチケット、ぜひキープして欲しいわけです。

-緊急事態宣言が解除されたからといって、今まで通り色んな所へ外出しようというのは良くない?

「色んな所」の場所、環境によると思うんですね。やはり3密がある、立て込んでいてなおかつ環境が悪い所とかですね、気を付けないといけない。
例えば気温が28℃になると(ウイルスの活動は)下がるんだけれども、夏になってがんがん冷房をかけたら28℃よりずっと下ですよね。
紫外線が良いという報告もあるけれども、紫外線なんてそんなに室内では浴びれないですよね。やはり換気をちゃんとするとか色々考えないといけないことがあるんです。

-夏にクーラーをかけて密室にするとどうなる?

ひとつのリスクが上がるということになると思う。だけど窓を開けてしっかりと換気をすればいいわけなので、それは私たちの行動で結果が変わってくる話ですね。
それは恐れるというよりも淡々と(対策を)やっていきましょうという話だと思います。

-兵庫県も新たな患者数が1週間平均10人以上になると再び自粛要請をするという独自基準を設けている。井戸知事は「総合的なもので判断する」としているが、この基準についてはどう考えるか?

なんとか妥当ではないかと思います。結局、国の基準というのは西浦さん(北大教授)という世界的な学者をちゃんと抱えることができるからなんです。
兵庫県はそれだけの専門家までは持てないかもしれないけれども、できる範囲でこういう基準を出していて、結果出てくるのは大阪と大差はないということになるんじゃないかと私は思っています。

-兵庫でもこの近い時期に第2波は考えられる?

第1波の揺り戻しみたいな感じということは、例えば外から(ウイルスが)入ってきてそこで広がるかどうかという話なんだけれども、私たちがアンテナを立てていれば、確かに起こる可能性はあるけれども、第2波はぐっと(大きく患者数が増える)こんなことにはならないと思うですね。でもそれは私たちの行動次第というところなんですよ。

Q. 緊急事態宣言解除後 通院は?

-(桂あやめさん)前はちょっと頭痛いとかなったらすぐ近所のお医者さん行ってたんですけど、それはダメなんですよね?

一応電話をしてから行って欲しいですね。熱があるときはどんな症状で熱が何℃あって(症状を連絡する)ということですね。
ただ、熱がない場合についてはこれまでより少し行きやすくなってくるかと思います。是非、症状をまず言って相談してもらうということをお願いしたいと思います。

-オンライン診療等の規制が緩和されたが、この動きは拡大していくか?

厚生労働省は「時限付きでやるんです」とクギを刺しているんだけれども、これが例えばインフルエンザと同じような感じ、つまりワクチンができてっていうところまでは必要だと思うですよね。
じゃあそのときになって「もう一回止めます」となれば、今度は世論が許さないと思う。つまり厚生労働省というのは医療業界が言うと押さえつけてくるんだけれども、一般世論がみんな盛り上がると彼らはそれができないと思うので、そこのところで「止めます」ができなくて結局ずっといくんじゃないかなと。
つまり欧米並みの進んだことに、もう足を引っ張りあわなくていいことになってくるんじゃないかと期待しています。

-ワクチンの完成にはまだまだ時間がかかる?

ワクチンというのは、物を作るのはできるんですよ。だけどそのあとで副作用のチェックとか、いわゆる臨床試験、効果のチェック、こっちのほうが時間がかかる。
やはり日本の場合はゼロリスク、つまり1人でも何かあったらどうするのか、こういった感覚が欧米と比べても強い。これが足を引っ張ってしまって伸びる傾向があります。
そんなことを考えても大体順調にいって2年ぐらいなのかなと。もしそこで何か副作用があったとなるとそれがぐっと伸びてくわけなんですね。

Q. 入院患者や施設入居者への面会

-病院・介護施設での面会や出産の立ち合いなどはいつごろできるようなる?

これもちょっと時間はかかるかのかなと思う。ただ、これはどこかから「やってはいけない」と禁止されているわけではないんです。
ある程度は施設のリスクが取れるかどうか。ある施設は「よし、リスクを取ろう」とできるかもしれないし、ある施設ではリスクの高い、例えば高齢者あるいは慢性疾患の人がたくさんいるから「リスクは取れません」という話になるかもしれない。そこでバラエティが出てくるのかなと思う。

Q. 学校の再開 気を付けることは?

-県内でも登校可能日を設けているが、兵庫県の井戸知事は6月1日から分散登校などで再開していく方針を示している。ただ、親御さんの中では不安な気持ちがあると思う。何を気を付ければよいか?

やはりお母さんお父さん、一番できることは普段のその子を知ってるということなんです。これは誰よりも強い。
例えば、普段はこんなことを言ったらこういう反応をするはずなのにきょうの反応は違うとか、普段私が何かしてたらこう行動するはずなのに何かしないとか、そこをまずキャッチして欲しいんです。(熱が)37.5℃に上がるもっと前のところで(体調の変化を)キャッチできるはずなんですよね。普段のその子との違いというところにアンテナ高く、敏感になって欲しい。あとは一般的な注意事項ですよね。手洗いや咳エチケットですね。

-(桂あやめさん)オンライン授業でもいいから早くやってよと思うけど、やっぱり難しいんですかね?

逆にオンライン授業をせざるを得なくなるというところは思うんです。私たちの大学でも6月1日から解禁ではあるんだけれども、ゼミとか少人数は解禁するけども、大人数の授業というのは教室に(学生が)入れなくなるんですよ。100人の教室に30人しか入れないから。そしたらやっぱりオンラインの継続ということになります。オンライン授業というのはこれから相当定着していくと思います。

-プロ野球の再開についてはどう考える?

球場でも相当定員が減ってしまうし、すべてのチケットがプラチナ化してしまうというような気がするけれども、そういうことを我慢しながら再開していくのかなと。
ただ、まずは「やってみなはれ」なんですよ。結局やってみました、うまくいきませんでした、感染者が出ました、そこですぐにストップするとか。何が何でも優勝戦まで行くんじゃなくて。そういう柔軟なことが必要だと思います。

-県民の皆さんに提言を。

是非、皆さんアンテナ感度を上げ続けましょう。もし感染者が出たらすぐに私たちの行動が変化することができるように、このアンテナ感度というのが一番大事なことです。皆さん一緒に頑張っていきましょう。

2020年5月21日放送「情報スタジアム4時!キャッチ」より

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