兵庫県佐用町にある「おじいちゃんとおばあちゃんの花しょうぶ園」。
山あいの棚田には、およそ170種類50万本のハナショウブが植えられ、毎年6月から7月にかけて、満開の花しょうぶが多くの来場者を出迎えます。
花しょうぶ園を管理する三枝正雄さん、75歳。
園近くの山小屋で、植えた覚えのない、自然に生えた「ど根性」の果物の成長を見守ってきました。
(花しょうぶ園 三枝正雄さん)
こちらがど根性キウイです。つるですね。
山小屋を覆い隠すほど伸びたつる。葉っぱも実も落ちていますが、立派なキウイの木です。
三枝さんがキウイの苗を見つけたのは、10年ほど前にさかのぼります。
(三枝さん)
ある朝、起きて出たら、これくらいつるが伸びてて。
パッと見て「あ!これキウイのつるだ」と。
おそらくカラスが(キウイの)実をくわえてきて、落として、けし粒みたいな種から芽を出したんだろうと思う。
苗は1年ほどで屋根の高さにまで成長し、太くなったつるは、家の柱やテレビのアンテナにも巻き付き、家の内側にも侵入してきました。
そして、4~5年前からは徐々に実がつき始め、2019年秋、初めての収穫を迎えました。
キウイの実の大きさは直径1センチ程度のものからゴルフボール大まで様々。合わせると50キロほどあったということです。
(三枝さん)
相生のど根性ダイコンがありましたけど、こんなところで建物の基礎の部分から芽を出してどんどん伸びていった。
このたくましさですよね。
収穫したど根性キウイは、人の手によって栽培された通常のキウイと比べると、少し小さめです。
中はというと、綺麗なエメラルドグリーン。通常のキウイと同じ緑色です。
キウイを加工して、ジャムにしたのがこちら。
その名も「ど根性キウイジャム」。町内のグループが加工を手掛け、ジャムは無添加で無着色。地域特産のブランド「佐用風土」として150グラム500円で販売されています。
(三枝さん)
ジャムを作られた方が「野生の味がする」とおっしゃてた。
ジャムにすると砂糖もある程度使いますから甘くておいしい。
パンにつけたり、ヨーグルトにちょっと入れたり、食べ方が色々広がるんじゃないかと。
「ど根性キウイジャム」は花しょうぶ園で毎週日曜に開催されるイベントで購入できます。購入はお早めに。
と、さらに、三枝さんに案内されたのは…。
(三枝さん)
「ど根性キウイ2号」と名付けてるんですが、芽が出てるでしょ?コンクリートの中から出てたんですよ。
コンクリートを壊して、なんとか(芽を)助けてあげようと。守ってあげて自分の力で伸びていくように。
1号みたいに屋根を覆ってくれるのを楽しみにしてます。
ど根性キウイ2号。1号のようにたくましく育つのでしょうか。