【特集】水曜ふむふむ まるで呪文!? 割り算九九

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やってきたのは、神戸にある酒屋さんのすぐ隣。そろばん教室「東亜珠算会」です。中から聞こえてくるのは…。

(生徒たち)シチイチカカサン、シチニカカロク、シチサンヨンジュウニ…

まるで呪文のような言葉。

(スタッフ)これ今なんの授業をされているんですか?
(東亜珠算会 山下一秀さん)
そろばんに使う割り算の九九を練習してるんです。

街でもほとんど知られていないこの割り算九九。もう一度、耳を澄ませてみると…。

(生徒たち)六二 三十二、六三 天作の五、六四 六十四

声を出して覚えたあの九九とは、まったくの別物。「割り算九九」は、割り算の商と余りを覚えるためのものです。

例えば、7の段「七四」を見てみると。

一般的な九九では、7×4は28ですが、割り算九九では、40÷7を表します。

計算すると5余り5。「余り」の代わりに漢数字「十」を入れて、七四は「五十五」と示します。前から、割る数・割られる数・商・余りの順に並んでいます。

8の段「八六」なら、60÷8で7余り4なので、「七十四」と覚えます。

ちょっとよくわからなかったけれど、今は前よりはわかるようになりました。
割と覚えたらできます。(計算が)速くなってる感じはします。
(生徒たち)

覚えると計算が速くなるという割り算九九は、全部で59個。中には、掛け算にはない独特な言葉もあります。

「二一天作の五」は、そろばんで「1を消して5を足す」。「二進の一十」は、「2を消して左のケタに1足す」などと決められています。

九九は珠の動かし方を表していて、文字通りにそろばんを叩けば答えが出る、とのことですが…。

(生徒)二進の一十なので、その場合は2を消して… 
(スタッフ)なんで2を消したの?
(生徒)2の中に2が1回あるから、二進の一十で…
(スタッフ)「一十」っていうのは?
(生徒)1進める。
(スタッフ)1進める…。

初心者には、やはり呪文。そう簡単にマスターできるものではありません。

教えているのは、そろばん教室を開いて60年、山下さんです。昭和30年頃までは広く使われていたものの、覚えるのが難しく、次第に使われなくなっていったといいます。

(山下さん)
日本の伝統文化ですからね。素晴らしい方法でしょう、この割り算九九いうのは。

「割り算九九」 復活なるか。さあ、みなさんもご一緒に。

(生徒たち)二進の一十、四進の二十、六進の三十…

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