<元県民局長文書問題>
元西播磨県民局長が作成した文書を巡る問題についてです。片山元副知事が、2023年11月に行われた阪神とオリックスの優勝パレードの1週間ほど前に金融機関への補助金の増額を指示していたことがサンテレビの取材で分かりました。
これは、兵庫県の公文書で、2023年12月の補正予算について県職員が作成したメモです。当時の片山安孝副知事が当初1億円の予定だった金融機関への補助金を4億円程度に増額するよう口頭で指示したこと。また、前年度の補助金額が8億円だったため、急に1億円に減らすのではなく4億円にしてソフトランディングするよう指示があったことが記されています。
<兵庫県の補助金事業とは?>
問題となっているのは、2022年度からスタートし、今年度で3年目を迎える中小企業経営改善・成長力強化支援事業です。内容は、新型コロナ対策の特例で無利子でお金を借りた事業者が返済できるように、指導や報告書の作成などを行った金融機関に県が補助するものです。1事業者あたり県が10万円、2年目以降は7万5000円を金融機関に補助します。
<2023年11月23日の優勝パレードとの関連は>
この事業について元西播磨県民局長が作成した文書には、2023年11月に神戸と大阪で行われた阪神とオリックスの優勝パレードで信用金庫への補助金を増額し、募金として金融機関にキックバックさせたとの疑惑が記されていました。文書に「司令塔」と記されていた片山元副知事は、7月12日の記者会見で、あくまでも寄付の依頼であったとキックバックを否定しました。
7月12日片山安孝(当時)副知事会見
「阪神・オリックスの優勝パレードについてですが、必要経費について企業からの寄付を募ることになり、信用金庫への依頼は私が行いましたが、県補助金をキックバックするようにと言及したことはありません。あくまでも依頼を行ったものです。信用金庫への補助金は前期比50%減少となっております」
2023年12月の補正予算についてサンテレビが入手した資料です。2023年11月9日、県の産業労働部は補助金事業の継続として約1億円の予算を要求。11月14日の財政課長の査定資料には1億円と記されていましたが、2日後の11月16日の産業労働部の事業説明書には、金額が3億7500万円に差し替わっていました。片山元副知事が指示したのは2023年11月14日から16日の間とみられ、県は支援対象の事業者が1000から3000に増えたことが理由と説明しています。
また、職員のメモには、11月21日の知事査定で全体をまるく4億円で計上するよう斎藤知事から指示があったことも記されています。3億7500万円では切りが悪いので4億円で計上するよう指示があったということです。
6月20日 斎藤元彦知事記者会見
「令和5年11月23日のパレードについて信用金庫への県補助金を増額し、キックバックさせることで補ったとありますがそのような指示をしたことはございません」
では、県内の金融機関は、阪神・オリックスの優勝パレードの協賛金としていつ兵庫県に寄付したのか?こちらは、寄付の日付が記された資料です。2023年11月17日から30日の間に、県内13の金融機関から県が協賛金を受理していて、片山元副知事が補助金の増額を指示したと見られる14日から16日よりも後だったことが分かります。7月の記者会見後、一連の疑惑について片山元副知事に取材を試みましたが、回答は得られませんでした。告発文書に書かれた疑惑に対する丁寧な説明が求められています。
この疑惑について県内のある信用金庫は、片山元副知事が依頼に来たのは事実だが、「補助金増額の話はなかった。全く知らなかった」と話しています。
<複数の関係者「元課長は補助金の増額には関与していない」>
また文書には、優勝パレードを担当し、2024年4月に亡くなった元課長が「一連の不正行為と調整で精神が持たず、病んでいた」などと記されていましたが、複数の関係者が、「元課長は警備やコスト削減、大阪府などとの調整に苦労していたが、補助金の増額には関与していなかった」と、証言しています。