■V1との対戦も
女子バレーボールVリーグ2部(V2)首位のヴィクトリーナ姫路が12月8日から始まる皇后杯に参戦する。
東海大との1回戦(12/8)を突破すれば、2回戦(12/9)でV1埼玉上尾メディックスとの対戦が待っている。
ヴィクトリーナ姫路は昨シーズン大不振で、4シーズン留まったV1から降格した。
V2で戦う今シーズンは、日本代表の井上愛里沙(28)・柴田真果(29)・小林エンジェリーナ優姫(24)を獲得して戦力を大幅に増強した。
その結果、開幕から7戦全勝。
しかも全てストレート勝ちで、相手に20点以上奪われたのは7試合中わずか4セットと、V2では圧倒的な強さを見せている。
タイ代表の新戦力、チャッチュオン・モクシー(24)が強烈なスパイクとブロックでチーム1の121得点を挙げる一方、日本代表の宮部藍梨(25)はアタック決定率61.8%と、驚異的な数字を残している。
さらにルーキーの伊藤麻緒(23)がブロックを量産。
昨シーズン、ケガで出場がなかった3年目の渡邉かや(25)が最近4試合、先発で躍動するなど、新しい力も育っている。
■常に100%
今シーズンから指揮を執っているアヴィタル・セリンジャー監督(64)は、オランダ女子代表監督を2度務めた“名将”。
就任会見では、自ら漢字で『百%』と手書きした色紙を掲げ、練習でも試合でも自分ができる100%を尽くすよう選手に求めた。
皇后杯を前にセリンジャー監督に聞いた。
—チームが好調
「結果だけでなくプレーにも満足している。先発6人を固定せず、ほとんどの選手にチャンスを与えた」
—特にブロックがいい(1セットあたりのチームブロック数が3.86本でV2リーグ1位)
「こんなに良くなるとは私自身、思っていなかった。ブロックと守備の位置取り、タイミングなど口酸っぱく言ってきた」
—ブロックでは伊藤選手が目立つ(1セットあたり1.18本で、モクシーに次いでリーグ2位)
「短期間で目覚ましく成長した。ジャンプするスペースがあれば、どんどん積極的に飛んで、攻めのブロックを仕掛けている。まだ若く、いいものを吸収している」
—渡邉選手も頑張っている
「彼女がコートに入った時は、すごくチームが機能する。よく役割を果たしている」
—選手には<100%>を求めてきた
「選手には試合が終わった時に、なぜやらなかったのか、もっとできたのに、と思ってほしくない。もっと勝ちたい、もっと上手くなりたいというハングリー精神を持ってほしい。100%やらない限り成長はない」
—皇后杯ではV1チームとの対戦も想定される
「まず1回戦の東海大に勝つことに集中したい。V1は、日本人選手も外国人選手もレベルが違うことだけは言える」
■相手より自分
伊藤・渡邉両選手と松本愛希穂キャプテン(26)にも話を聞いた。
—ブロックがいい
伊藤:「ミドルブロッカーとして、(1セットあたりブロック決定本数で)1番をねらいたいが、ブロックに執着し過ぎても空回りする。チームにとって良い形でボールを運びたい。ブロックの高さよりも、相手コートに手を伸ばせと言われている」
—2年ぶりのコート
渡邉:「去年はリーグ前にケガをして出場できず、本当に悔しい気持ちだった。今年は自分にできることを100%出し切ろうと思って試合に出ている。自分は年齢的にもチームの真ん中ぐらいなので、チームを引っ張っていけるような選手になりたい」
—練習は厳しい
松本:「100%でやらないと(監督に)ばれちゃう(笑)。みんなわかっていると思う。その日の100%を出すということを毎日やっているので、『100%』という言葉よりも、自然に身についてきている」
—皇后杯は
伊藤:「去年も(東海大で)出場した。大学チームはチャレンジャーとして思い切りぶつかって来るので、押し負けないようにしたい。(V1との対戦は)自分たちの今の力を再確認できるいい機会だと思う。100%で頑張りたい」
渡邉:「試合以上に厳しい練習をしている。練習でやってきたことをしっかり出して、結果につなげられるように、全員で戦いたい」
松本:「アヴィさん(監督)は、相手がどうかよりも、自分たちにフォーカスを置いている。ぶれることなくやっていきたい」
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選手の口からは「100%」が何度も出てきた。
新生“アヴィタル・ヴィクトリーナ”がV1相手にどんな戦いをするか、今から楽しみだ!
(浮田信明)