【特集】新型コロナワクチン接種後に妻を亡くした加古川市の男性の訴え~自らも闘病中で迅速な健康被害救済制度の審議結果を求める~

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新型コロナワクチン接種後に妻が亡くなり、予防接種健康被害救済制度に申請した加古川市の男性を取材しました。男性は2022年9月に死亡一時金などを申請。自身も病気を患い闘病中で、妻に報告するためにも、できる限り早く審議結果が出ることを望んでいます。健康被害救済制度の様々な問題点について解説します。

【新型コロナワクチン 健康被害救済制度への申請が相次ぐ】

新型コロナワクチンの健康被害救済制度認定数

予防接種をした後に健康被害を訴える人を迅速に救済・補償するための国の制度として、予防接種健康被害救済制度があります。11月29日現在、新型コロナワクチンを接種した後、健康被害を訴えて国に救済制度に申請し、因果関係を否定できないとして医療費や死亡一時金などの支給が認定された件数は5357件。このうち死亡例の認定は377件となっています。

【新型コロナワクチンの認定数だけで過去45年の累計を超える】

健康被害救済制度の申請数と認定数

例えば、インフルエンザやBCGなど、新型コロナワクチンを除く過去45年間すべてのワクチンの累計で、認定数は3522件でした。一方、新型コロナワクチンの認定数は5357件。新型コロナワクチンを除く過去45年のすべてのワクチンの累計を超えています。まだ3000件以上が審議されていないため、今後も増える見込みです。

【死亡例(死亡一時金・葬祭料)は過去45年の累計の2倍以上】

健康被害救済制度 死亡例の認定数

死亡一時金や葬祭料といった死亡例の認定も377件で、過去45年のすべてのワクチンの累計の2倍以上となっています。過去45年の累計というのは、私たちが子どものころから打ってきたすべてのワクチンを含めます。現在、子どもの定期接種のワクチンは10種類で、複数回打つものもあります。毎年、任意接種でインフルエンザワクチンを毎年接種していたとしたら、これまでに累計数十回のワクチンを打っていることになります。一方、新型コロナワクチンは多い方でも7回で、のべ約4億回。過去45年の累計は、4億回よりもはるかに多いと考えられることから、いかに新型コロナワクチンの申請数と認定数が、他のワクチンと比べて飛び抜けているかが分かります。

【そもそも申請すらできない人もいる】

健康被害救済制度と死亡一時金

健康被害救済制度には、被害を訴える方自ら、あるいは家族がそれぞれの市町村で申請を行います。死亡一時金に関しては、配偶者、または生計を同じくする遺族と限られています。そのため、1人暮らしの方が亡くなった場合や、子どもがいても一緒に住んで生計を共にしていないと申請すらできません。(※「葬祭料」に関しては、「予防接種を受けたことにより死亡した者の葬祭を行う者に支給」となっていて、「死亡一時金」の対象外でも申請することが可能)

さらに、申請から認定まで最低でも1年かかると言われていて、膨大な量の資料を自費で集めないといけないため、申請を諦めてしまう方もいます。

新型コロナワクチン接種後に妻が亡くなり、この健康被害救済制度に申請した加古川市の男性を取材しました。

【52歳の妻を亡くした男性の訴え】

加古川市に住む66歳男性

加古川市に住む66歳の男性
「最後何も話をしていなかった。かわいそうなことをしたというのはずっと心に残っていましてね。『助けてくれ』と言ったんやろうなと思うんですけど、気が付かなかったのはちょっと悔やまれるんですけどね」

加古川市に住む66歳の男性。2022年3月24日、長年連れ添った52歳の妻を亡くしました。男性の妻は2回ファイザーのワクチンを接種した後、2022年3月、3回目にモデルナのワクチンを接種。3日後に発熱と肩の痛みがあり翌日収まりましたが、5日目の早朝、男性が異変に気付きました。

(男性)
「口から泡みたいなものが出て、唇が土色で。ちょっと表現が難しいけど、あの状態は一生焼き付いてしまいますね」

反応がなかったことから男性は人工呼吸を行い、119番通報。男性の妻は加古川市内の総合病院に運ばれました。

(男性)
「『まさか。まさかな』と思いながら待っていたんですけども。30分後くらいに先生が『救命措置したんですけどもあきませんでした』と言うので、声が出ないような泣き方をしていた感じで。それから警察が来て『家で亡くなられたということなので法律上解剖しないといけないんです』と言うから」

兵庫県内の大学病院で解剖が行われ、死体検案書には「致死性不整脈の疑い」と記されていました。

(男性)
「落ち着いてよく考えたらワクチンを打って5日目やなと。死体検案をしたところに電話したんですけども、ワクチンのことどうでしょうかと聞いたら『そのことについては判断できません』ということで返されてしまったと」

【納得がいかず加古川市役所に相談 健康被害救済制度を申請】

これまで不整脈と言われたことや、心臓、血管の異常はなく納得ができなかったことから、男性は2022年7月、市役所に相談に行きました。

(男性)
「周りでこんな人がいるんじゃないかなと思って、ないがしろにしたらあかんなと思ってとりあえず記録に残してくれということで話をしに行ったんですよ」

妻の死亡事例を市の公文書として記録に残してもらったほか、市から健康被害救済制度に申請するようアドバイスを受けました。約2カ月かけて必要な書類を集め、2022年9月に申請しましたが、1年3カ月が経ってもまだ連絡はありません。夫婦に子どもはおらず、申請した男性自身も病気を患い闘病中であることから、できる限り早く審議結果を出してくれることを願っています。

(男性)
「私も結構いろいろありますので、それを待てるのかなというのもあるんですけども。私も1人暮らしですのでね。どういう結果が出るのか死んでしまったら分からないし、せめてもう少し早めに判定結果が出るようにしていただいたらと思うんですよね」

病院のカルテや受診証明書など膨大な量の資料を自ら集める必要があり、認定までに少なくとも1年以上かかる一方で、そもそも申請すらできない人がいるのが現状です。

(男性)
「(死亡一時金の対象が)生活を共にしている人ということ、生計を共にしているということね。おかしいちゃうんかなと思ったんですけどね」

藤原みつえさん

看護師で加古川市議会議員の藤原みつえさん。新型コロナワクチン接種後の副反応や後遺症患者のサポートに携わっています。

(藤原みつえさん)
「訪問看護の仕事をしていたので。利用者さんが体調を崩されたり、スタッフも打った後に体調が悪くなったり、これはやっぱりおかしいと思って、声を上げるために議員になったんですね」

藤原さんは、健康被害救済制度をもっと広報するべきだと訴えています。

(藤原さん)
「副反応疑い報告制度もそうだけど、救済制度も申請すらされていないんじゃないかなと。たくさんの方が亡くなられて」

(男性)
「周知されていないよね。私は言うべきと思ったので(市には)積極的に動いてもらったんですけどね」

(藤原さん)
「なかなか市民の方が声を上げるというのが本当に少ないと思います。自ら市役所に行って、そこで話をされるというのは本当にごくまれで、皆さん思っていても言わなかったり。だから実際把握できない」

(男性)
「私ら受け身でしかないので待つしかない。この事実を真摯に受け取ってもらって、早急になるべく皆さんに報告できるような、いい報告なんか悪い報告なんか分かりませんけども判断をしてもらいたいですね」

【健康被害救済制度と副反応疑い報告制度】

健康被害救済制度と副反応疑い報告制度

健康被害救済制度は、迅速に被害者を救済・補償するための制度で、因果関係を否定できない場合も認定されます。過去に例を見ない申請数となり、厚生労働省は、審議会の頻度を増やして対応しているそうですが、最低でも1年かかるというのは、迅速に被害者を救済する制度の本来の趣旨とは程遠い現状があります。

副反応疑い報告制度

このほかにも、安全性を評価するもう1つの制度があります。厳密な因果関係を専門家が評価し、ワクチンの安全性を評価する副反応疑い報告制度です。この制度では、主に医師らがPMDA・医薬品医療機器総合機構を通じて国に報告します。

どれくらいの報告があったのでしょうか?

 

副反応疑い報告制度での因果関係の認定

7月30日時点で、これまでに2122人が新型コロナワクチン接種後に亡くなったと報告されています。ただ、因果関係が認められた事例は2件で、99.3%にあたる2109件が情報不足などにより評価できないと判定されています。加古川市の遺族の男性によると、医師からの報告はなく、この制度についてサンテレビの取材で初めて知ったそうです。

副反応疑い報告制度に関しては、医師が報告するのが一般的ですが、これまでの取材でも医師から報告がなかったケースが多々ありました。被害者や遺族が自ら報告することも可能で、加古川市の男性は今後報告するかどうか、自分の体調を見ながら考えたいとしています。

国は、この2つの制度を国民や医療機関、行政にしっかりと伝えていくこと。そして、迅速な救済認定が求められています。

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