【藤岡キャスター】
「10月に入って一気に季節が進みすっかり秋になりました。『実りの秋』ということで、多くの食材が旬を迎えます。
きょうはこちらの食材に注目してみます。キノコです」
【柴原アナウンサー】
「秋になるとマツタケをはじめ、シイタケやシメジなどが旬を迎えますが、一方でこんな報告が増えます。
こちら、9月、10月になると毒キノコの食中毒が急増しているんです。県内でも毒キノコによる食中毒は毎年のように報告されています。」
【藤岡キャスター】
「きょうはキノコについて取材しました」
この中で食べられるキノコがどれか分かりますか?中には死に至る危険な毒キノコもあります。
今回、キノコについて解説してくれるのは、元・人と自然の博物館の主任研究員秋山弘之理学博士です。専門はコケ植物ですが、キノコの研究も30年続けています。
【秋山さん】
「キノコは地面から生えるものと、腐った木から生えるものがある。
毎年たくさん落ち葉が落ちていくが、次の年には消えてなくなっている。これ、もう落ち葉がボロボロ。分解されるからなんですけど、分解している主な役笑いはキノコの仲間が担当している」
今回は特別な許可を得て神戸市立森林植物園でキノコ採取を行いました。
【秋山さん】
「木が倒れて腐りかけている所にはキノコがよく出る。ここら辺も探せば出てくる。
(今見つかったのは?)ハナビラニカワタケ。大きく言えばシロキクラゲの仲間。中華料理の材料。食べられます。」
まず見つかったのは食用のキノコです。
珍しいキノコも生えていました。
【秋山さん】
「面白い色をしたキノコがあります。ロクショウグサレキンといいます。
『ロクショウ』というのは銅がさびたときの色。枯れ木も緑色に染めるんです。これも枯れ木を分解するキノコです」
【秋山さん】
「これはカイガラタケですね。裏を見ると筋になっている。これが特徴です。
(食用ではない?)食感悪いですからね」
【秋山さん】
「これ、裏側がほんの少し紅色になっている。ベニヒダタケというキノコ。食べられないです」
非常に危険なキノコも見つかりました。
【秋山さん】
「カエンタケの小さいやつですね。トリコテセンという皮膚に刺激を与える物質を含んでいる。
食べたら小脳に障害が起きて、猛毒で死に至る」
ことしは特に触れるのも危険なカエンタケの発生が多く、森林植物園の職員が処理に追われたそうです。
秋山さんによりますと、国内には6000~1万種のキノコが生息しているそうです。
【秋山さん】
「毒キノコ図鑑に載っているのが大体250種ぐらい。
死ぬのが20種類ぐらい。食べたら大人でも死んでしまう。お腹を壊したり吐いたりするのが、残りの230種類ぐらい」
今回の取材では食用のスッポンタケの小さいものや、触れると胞子を飛ばすエリマキツチクリなど、3時間で20種類ほどが見つかりました。
厚生労働省や農林水産省は、HPで危険なキノコや間違って食べてしまうことが多い毒キノコを紹介しています。
兵庫県でも、シイタケやヒラタケと間違えてツキヨタケやカキシメジの食中毒の報告があります。
また、1本で大人3人を死に至らせる致死量の毒を持つドクツルタケや、同様の強い毒を持つニセクロハツなどは、県内で発見の報告が珍しくない毒キノコです。
【秋山さん】
「知らないやつは気を付けなければいけないというか、できるだけ野生のキノコは食べないほうがいい」
一方、兵庫県内ではこんなキノコも見つかっています。こちらは三木市の西山牧場。案内してくれるのは西山農さんです。
【西山さん】
「ちょうど、この根の辺りです。この辺りにぽろっと。ホンセイヨウショウロていって、いわゆる白トリュフになります。
顔を近づけた瞬間にすごい芳醇な香り。すごいにおいがしました。」
これが2016年に発見された白トリュフ。鑑定したのは秋山さんでした。
高いものでは1グラム1000円以上するといわれる白トリュフ。その白トリュフがどうなったのかというと…。
【西山さん】
「マルゲリータのピザを焼いて、その上にスライスして、たっぷり乗せて食べました。
味はすごい濃いチーズのような、芳醇な香りという感じ。おいしかったです」
何年か収穫できたそうですが、松の木が枯れて取れなくなったそうです。
しかし、素人が分からないキノコを食べるのはお控えください。