■レジェンドは健在
パリ五輪の出場決定で注目を集める男子バレーボール。
その国内トップリーグ・Vリーグ1部(V1)が10月14日、開幕する。
長い歴史を持つ名門チーム「日本製鉄堺ブレイザーズ」(チーム所在地:大阪府堺市)は、ホーム・大浜だいしんアリーナ(堺市立大浜体育館)で、東レアローズとの開幕戦に臨む。
日本代表経験のある出耒田(できた)敬、高野直哉、樋口裕希らに加えて、昨シーズン、リーグ2位の747得点を挙げた206㎝のシャロン・バーノンエバンズ(カナダ)が力強いスパイクを叩きつける。
中でも注目は2008年北京五輪代表、42歳の“レジェンド”松本慶彦だ。
身長193㎝。ミドルブロッカーとしてVリーグ通算20シーズン目を迎えた。
前人未到の476試合に出場し、500試合出場も視野に入れる。
昨シーズンは37試合に出場。179得点を挙げるなど主力として活躍した。
練習では若い選手と同じメニューをこなし、全く年齢を感じさせない。
「北京五輪が終わって、もういいかなという気持ちもあったが、やりたくてもできる仕事でないので、できるうちはと(思い直した)。ここまでやるとは思わなかった。引くに引けないです(笑)」。
オフはボールに触らず、トレーニングをして体のケアに努める。
「妻が栄養ある食事を作ってくれる。家族には感謝しています」。
開幕前はいい緊張感があると松本は語る。
「コロナが収まり、会社関係やスポンサーの方と4年ぶりに出陣式もやった。さらに上をめざしてやらないと」と力を込めた。
■11年ぶりVに照準
男子V1は全10チーム。
来年3月までレギュラーラウンド36試合を戦い、上位4チームがプレーオフに進む。
堺は昨シーズン、8年ぶりに4位に入ったが、プレーオフでは3戦全敗した。
千葉進也監督は、「選手にプレーオフの経験がなく、もう一段ギヤを上げられなかった。しかしプレーオフを経験したことは大きい」と、11年ぶりの優勝に照準を合わせる。
山口頌平キャプテン(セッター)は「4強の自信とプレーオフ全敗の悔しさを胸に試合に臨む」と語った。
一方の東レは昨シーズン5位と、惜しくもプレーオフ進出を逃した。
国際バレーボール連盟の取り決めで、五輪予選に出場した選手は、14・15日の試合には出場できないことが判明し、東レは、高橋健太郎・富田将馬の両代表抜きで試合に臨む。
篠田歩監督は、「2人がいなくても、しっかりチームを作ってきた。選手層の厚さを見せるチャンス」と前向きにとらえ、中国出身の新外国人選手・徐克(シュ・カ 202㎝)らの活躍に期待した。
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V1堺×東レ戦は、10月14日正午から大浜だいしんアリーナで行われ、15日も同アリーナで試合がある。
サンテレビでは14日の試合を生中継する。
解説は、堺の前身・新日鉄で選手・監督として活躍した田中幹保氏が務める。
<日本製鉄堺ブレイザーズ>
チーム結成は1939年。以来、「新日鉄」、「堺ブレイザーズ」などと名称を改めながら、日本リーグ・Vリーグ・天皇杯などで多くの優勝を遂げる。中村祐造(ミュンヘン五輪キャプテン)、柳本晶一(女子日本代表監督)、田中幹保(モントリオール・ロサンゼルス五輪代表)、眞鍋政義(女子日本代表監督)、植田辰哉(男子日本代表監督)、中垣内祐一(バルセロナ五輪代表)ら、日本を代表する選手や指導者が数多く在籍した。今シーズンからチーム名を日本製鉄堺ブレイザーズと改めた。
(浮田信明)