ふるさと納税で違反があり制度から2022年除外された兵庫県洲本市。
その後、返礼品のおせちをめぐる問題や牛を「一頭買い」していた問題など、市に対する疑惑の数々が議会などで挙がっています。
なぜ、そのようなことが起きたのでしょうか。
洲本市の上崎市長が、サンテレビの取材に応じました。
洲本市ふるさと納税違反で2022年5月から2年間制度除外
10万円を寄付すると、5万円分の温泉利用券がもらえた洲本市。
総務省が定めるふるさと納税制度の基準に違反する高額な返礼品を贈っていたとして、2022年5月1日から2年間制度の対象から除外されています。
市の第三者調査委員会によりますと、返礼品1195品のうち373品が調達費3割以下や地場産品としての基準などに違反していたことが明らかになりました。
また、返礼品の不適正な事務処理をしたなどとして2023年3月、当時の担当課長が停職6カ月の懲戒処分になり、依願退職しています。
一連の報道について上崎市長にインタビュー
一連のふるさと納税の問題について洲本市の上崎勝規市長はー
【洲本市 上崎勝規市長】
「ふるさと納税問題にまつわる疑念というか問題について、残念ながらごく一部の職員でありましたが、事務処理においていくつもの不適切な処理が行われていたということが明らかになってきております。それらについての責任は、私にあるという理解をしておりまして、心からお詫びしたいという気持ちでいっぱいであります。」
おせちをめぐる問題について
不適正な事務処理の一つが、おせちをめぐる問題です。
洲本市は2021年10月1日付で、JTBパブリッシングに2000セット・4800万円分のおせち料理を発注。
市の条例で議会の議決が必要と定められている2000万円以上の発注でしたが、議会の承認なく決裁されました。
さらに申込書には、申し込み者が当時の竹内市長にもかかわらず市長の公印ではない偽の公印が押されていました。
【洲本市 上崎勝規市長】
「契約書そのものに公印を押すか押さないかっていうところはあるんですけども、押さなくても申込書は無効であることは考えていないんですね。ただ本来我々が使う印鑑っていうのは、当然登録されている印鑑なので厳正に市長公印というものから、それぞれの所属の部分で押せる印鑑があるんですね。それ以外のものの公印というか印鑑を押している部分については、適切な処理ではないとは考えています。」
Q.誰が印を押した?
「誰が押したかということを今私自身ははっきり承知はしていないんですけども、恐らくその所属の職員担当課長以下の職員の誰かが押したんだろうと思います。」
サンテレビの情報公開請求では「おせち料理の納品書はない」としていましたが、改めて市長に聞くと。
【洲本市 上崎勝規市長】
「それらについては当然こちらの方も調査しているところなんですけど、残念ながら一部の職員という言い方をするとこちらがかばっているようなことになりますけれども、やはり事務処理においていくつもの不適切な書類があったということは事実でありますので、現在探しているところでありますけれども判明をしていない。」
情報公開請求で内訳が開示され、800を予定していた医療従事者には157セット。1000を予定していた返礼品は174セットにとどまっています。過半数の1066セットは、移住イベントなどの参加者に無料で振る舞われていたとされています。さらに、およそ500セットが新成人や市内の返礼品事業者などに無料で配られていました。
【洲本市 上崎勝規市長】
「市長選挙前という言葉がいま歩いているんですけども、おせちの配布の時期っていうのはご存じの通り年末年始というのは日本人では当たり前。選挙の時期がたまたま3月であったと。2月の下旬に告示で3月の投票日であったということと私は理解しております。」
「その選挙の部分について私はそこには関与していないという理解をしております。」
Q.おせちの送り先を選定したのは誰?
「恐らくは 記録はないんですけれども当時の担当課長がやったものと私は解釈しています。思います。」
牛「一頭買い」をめぐる問題について
続いては、ふるさと納税の返礼品として市が牛を「一頭買い」していた問題について。
第三者調査委員会は、市が一頭買いをすることによりふるさと納税業務として適切な管理ができないとして「前代未聞」と指摘しましたが。
【洲本市 上崎勝規市長】
「コロナでいろんな商業活動とか地域の経済活動がやっぱり少し下火というか、疲弊しているようなそんな時期だったと思います。いろんなアイデアを出しながら地域経済を活性化していこうと思いついたことであろうと。私はやろうとした意図については、全くダメだったかというとそういう思いをもってやったということについては、全部がアウトかというとそうではないのかなと本音では思います。しかしながら、問題は多かったという認識をしていますので、まずはきちんと整理ができる手続きを踏まえた上で進めていく。そうすべきであったと今は反省しているところです。」
市は、6月の市議会で事業者から請求を受けた牛1頭分の支払いについて返礼品との照合を行わず、請求額を支払っていたことが新たに分かりました。
サンテレビが行った情報公開請求でも市は、納品書が存在しないと回答しています。
【洲本市 上崎勝規市長】
「あの、一頭買いをしてそれを精肉にさばいて返礼品として出しているというところなんですね。だから一頭買いの枝肉一つで8種類ぐらいの製品が作れるわけですよね。それが何百パックかできるわけですね。いろんな種類を違えた部分で、その種類を違えた部分の何百パックを返礼品として送っているという考え方をしていますので、一頭買いをしたことについては返礼品として提供されているものと理解をしているんですけど。」
Q.納品書がないことで本当にふるさと納税に使われたか チェックできない体制というのは問題だと思うが?
「そういう製品となった肉がきちんと『この部分でこれだけ取れました』『この部分でこうだったんだ』と事務処理として適正にすべきだったと認識しています。」
Q.全部の肉が納税者に送られた認識?
「本来その返礼品としてやられた部分については、送られたものという理解をしています。」
市の第三者調査委員会は、9月にも最終報告書をまとめる予定です。
ふるさと納税の指定復帰に向けて
ふるさと納税の指定復帰に向けてはー
【洲本市 上崎勝規市長】
「真摯に受け止めて、本市のすべての事務処理・事業を問題として改めて認識をしないとならんと思っております。一刻も早くこの状況をきちんと説明をして、庁内のガバナンスの回復。それから明らかになったことをきちんと説明していくこと。そして制度の復帰に向けた対応を考えていくというよりも、信頼を取り戻していくことが1番大事な話なのかなと考えているところです。」