PTAの役員活動では学校を知る事ができる一方、保護者の負担も指摘されています。丹波篠山市の小学校で保護者の有志が進めるPTA改革を取材しました。
丹波篠山市立岡野小学校。全校児童117人の小さな学校です。保護者の有志が立ち上がり、去年からPTA改革を進めています。
役員の負担軽減のため市のPTA協議会を脱退し、名称も変更しました。
-何という名称なんでしょうか?
【一同】
「『PTO』です!」
PTOのOは応援団の略。「子どもたち目線」の活動にするため児童にアンケートを実施し、その結果、夏休みのプールを復活することにしました。
【岡野小PTO 会長 上本浩之さん】
「子どものためにというのであれば、活動してる保護者も先生方も、みんなが楽しいと思えるような活動団体に」
介護や共働き家庭の増加などで、PTA活動は近年、保護者にとって大きな負担となっていて、役員を決める「くじ引き」も「半ば強制ではないか」といった批判的な声も挙がります。
岡野小学校PTOは組織を会長や副会長など数人に限定し「スリム化」。さらに、活動を自由参加の「エントリー制」にし、アプリを使ってボランティアを呼びかけるようにしました。
【岡野小PTO 副会長 山下浩司さん】
「(以前は)不得意なことでもやらされてしまう状況にあったと思う。
これならできるかもという軽い気持ちで挙手していただいて、ボランティアに参加していただけるようになっている。皆さん、得意なことの方がやりがい持ってできる」
このアプリを使い、ことし5月、地域の運動会での売店スタッフを募集。例年より商品も増やし、多くの保護者の参加がありました。
様々な改革を行う中で、執行部のメンバーはどう感じているのでしょうか?
【岡野小PTO 山末登紀子さん】
「子どもたちも楽しそうやし、来られる地域の皆さんとも交流が深まって良かった」
この活動について専門家は「参加しやすい仕組み作り」と話します。
【神戸親和大学 教育学部 金山健一教授】
「臨機応変に、みんなが活動できるような流れが良い。活動を柔軟にやっていく。
できるときに、できることを、できる範囲で、皆さんがちょっとずつ関わっていくことが重要」
学校側は保護者が進めるPTA改革をどのように感じているのでしょうか。
【岡野小学校・幼稚園 細見康彦校・園長】
「これまでのPTA活動とはかなり負担が少なくなったというメリットがある。
どちらかというと教職員が中心となって進めていかなければならないところもあった。それがまったくなくなった」
PTOの加入率は、73.2%。保護者も教職員も、加入・非加入、退会も自由。どれでも子どもたちが不利益を受けることはありません。
【上本さん】
「入会していてもしていなくても、自分が参加したいって思える活動には参加できて、それを楽しくみんなでやっていく。
そこに地域も巻き込んで、地域の人とも一緒に活動して。その結果、子どもたちが喜ぶ。その喜んだ元気を地域に還元できたら一番良い」
親の無理を省いて子供たちを笑顔に。地域を巻き込む実験的な取り組みにこれからも注目です。