ふるさと納税で違反があり、制度から除外された洲本市で、今度は、牛肉を巡る問題です。洲本市が行っていたという「一頭買い」。食肉業者からは「ありえない」と驚きの声が上がっています。
全国屈指の人気を誇った洲本市のふるさと納税返礼品の数々。中でも人気だったのが、「牛肉」ですが…。洲本市が「一頭買い」をしていたことがいま問題となっています。
「前代未聞」と指摘
5月15日。弁護士や大学教授らでつくる第三者調査委員会は、洲本市が、2020年度からの3年間で牛約65頭分を「一頭買い」していたと公表。「前代未聞」と指摘しました。
第三者調査委員会 専門委員
「洲本市牛一頭丸々購入。洲本市が在庫を持つというようなことをしていた。通常在庫管理できない。どれだけ肉残っているのか把握できない状況になるので本来市が積極的にやることではなかったのでは」
ふるさと納税の仕組み
ふるさと納税では、寄付を受けた自治体は、返礼品事業者にその商品の発送を依頼します。依頼を受けた業者は、商品を寄付した人へ送った後、その商品に送料を加えた額を市に請求し、支払いを受けます。ところが洲本市宛ての請求書を見てみると…。
返礼品の「ステーキ」や、「すき焼き用の肉」などの商品名が並んでいるはずのところに、「牛1頭」の文字が…。隣には、頭数と価格しか記載されていません。これでは、寄付をした何人にどんな商品を、いくつ発送したのかが分かりません。
ありえない伝票…
兵庫県内で淡路牛を取り扱う精肉業者は、「ありえない伝票」だと話します。
兵庫県内精肉業者は―
「伝票自体そのものが、肉屋さんが作った伝票じゃないですね」
そもそも市が一頭買いをするにあたって、どこから仕入れているのか、生産者から直接仕入れているのか、(枝肉の)競りで仕入れているのかとなったら、洲本市の名前が競り場に上がる聞いたこともない。牛を「一頭買いする」ということは、買い取った牛をカットし、梱包・発送までするということ。保管する設備まで必要となるため、市が、一頭買いすることはありえないと話します。
兵庫県内精肉業者は―
「流れがそもそも成り立っていない」
また、請求書では、重量や質によって値段が異なるはずなのに多くの牛が1頭あたり140万円と同じ金額の表記。さらに、同じ牛の個体識別番号が重複して記されていました。
これについてもー。
兵庫県内の精肉業者は―
「重複しても、数量が2分の1だったら分かる。これだけ、140、140、140とかそろったような伝票は見たことない。なんでこんな同じところに3頭も140万というのが出てくるのか。もう理解不能ですね。肉屋がこういうのは書かない。書けと言われても…。それか、よっぽど圧力をかけたのか。でも圧力がかかってもここのレベルまではよう書けない」
市は、調査委員会の指摘に対し、「正しい処理手続きに改善し、復帰に向けた制度設計に反映してまいります」とコメントしていますが、「一頭買い」がなぜ、どのように行われたのか。疑問は深まるばかりです。