三宮と春日野道の間に位置する「大安亭市場」。 南北およそ250メートルに鮮魚や精肉、青果といった新鮮な品物が並ぶ専門店が連なります。
大安亭市場は、かつて近くにあった浪花節の小屋「大安亭」に多くの客が訪れたことから店が集まってできたとされています。 市場内を見回すと、買い物客の中に多くの外国人の姿が。
【大安亭市場協同組合 井上善照理事長】
「(外国人利用者の割合は)まあ肌で感じるのは2割くらいかな。もともとは韓国食材の店なんかは僕が気付いたころからは結構ありましたけど、中国のお店やパキスタン、ネパールなんかは最近ですね。国際色豊かでなかなか楽しい市場になってきているなと思っています」
一体なぜ、大安亭市場に外国人の客や店舗が集まるのでしょうか?
市場の北側で、ガラムマサラやターメリックなどおよそ十数種類の本場のスパイスが並ぶ「ALIS HALAL FOOD」。
【ALIS HALAL FOOD イルファンさん】
「この市場で私たちが店を構えた理由はここがとてもにぎやかだからです。たくさんの人がこの市場で食べ物を買っていきます。業務スーパーとか野菜や果物などが安く買える店があるからこの市場は魅力的なことがたくさんあります。だから本当にたくさんの人がここを訪れるんですよ」
この店では、イスラム教徒であるムスリムの人たちが戒律を気にせず安心して口にできる「ハラール食品」を取り扱っていて、日本で暮らすムスリムの人にとっては貴重な存在なんだとか。
【バングラデシュ人の利用者】
「魚を買いました。よく来ます、ここに。私はムスリム(イスラム教徒)ですから、この店はハラールを取り扱っているのでいつも買っています」
【イルファンさん】
「ハラールはムスリムの人のための特別な食べ物です。ムスリムの人はハラールではない物を食べることができません。ここなら簡単にハラール食材を見つけることができるんです」
民族衣装も取り扱うネパールの雑貨店「SAMJANA HALAL FOOD」でも、売れ筋はハラール食品だといいます。
【SAMJANA HALAL FOOD ブダハ・ガネスさん】
「(売れ筋の)一番はマトン(羊肉)とか、チキンとか(ハラール食品)。
(店に来るのは)ネパール人とかインド人とかパキスタン人とかバングラデュ人とか日本人とか」
ハラール食品ばかりではありません。
「中国物産店」ののぼりが目立つ「銘昇物産」は、本場中国の食品を中心に販売する専門店。
【銘昇物産 キク・アナさん】
「ここはやっぱり中国人多いから、留学生も多いしこの近くに自分の家を買った人も多いし。」
冷凍の水餃子やワンタン、袋麺やお酒といろんな品がそろう店には、故郷の味を求める中国人の利用者がほとんどということですが、最近は日本人のお客さんも多いそうで。
【キク・アナさん】
「(日本人客は)おばあちゃんおじいちゃんが多い。中国のピータンとかナツメのお菓子とか ちょっと食べてみたいなっていう感じで」
-日本人客が買ってくれるとうれしい?
「もちろん。中国のものを紹介もできますし、中国のものはやっぱりおいしいと思うので、だからやっぱり(日本人の客に)紹介したいです」
「外国の人が多く住む地域」であることと「地元の住民との交流」ができることから、外国人店主たちは出店場所を大安亭市場に選んだといいます。
では、外国人利用者にとって市場はどんな存在なのでしょうか?
【バングラデュ人の利用者】
「便利で安いですから、いつも買い物しています」
【ミャンマー人の利用者】
「日本語学校で勉強しています。(買ったものは)卵とか…、いろいろなものです」
【バングラデュ人の利用者】
「近くに住んでいるから大安亭市場はよく来ています。いっぱいハラールの品物があります。日本のお店でバングラデシュ人の食べ物がないので。」
どの人もそれぞれの生活に欠かせない場所として市場を利用しているようです。最後に、店主たちに「大安亭市場」の魅力を伺いました。
【キク・アナさん】
「ここは三宮も近いし静かだし。買い物便利、野菜とかなんでもそろう」
【イルファンさん】
「私たちは、とてもいい人に囲まれて暮らしています。この市場はとてもいいコミュニティができていますよ。日本の人たちは親切で思いやりのある人たちですね。とても明るくとても優しくて驚いています」
【井上理事長】
「大安亭市場は結構地域密着というか、物を売るだけじゃなくて食を通じて地域のコミュニティというか、そういったものを深めていきたいと考えてますんで、国際的ないろんな海外の方にも来ていただいて、楽しんでいいただける商店街にしたいと思っています」