大正時代、手話を守ろうと奮闘した実在する教師の半生を描いた映画の上映会が、兵庫県神戸市長田区で開かれました。
この上映会は、神戸ろうあ協会などろう者への理解を進める活動を行う県内15の団体が合同で企画したものです。
自主制作映画「ヒゲの校長」は、唇の読み取りや発語による口話法が推進され、手話を使うことが禁じられた大正時代が舞台です。
物語の主人公で、大阪市立聾唖(ろうあ)学校の高橋潔校長は、当時「個々の児童に合った学びを」と、手話を守るために奮闘した実在の人物で、作品では、ろう者の文化や歴史が豊かな手話表現と全編字幕付きで紹介されています。
映画を制作した谷進一監督は「聞こえる人たちはかつて手話が排除されていたということを知らなかった人も多い。今はドラマなどで手話がブームだが、手話の歴史や、手話が排除されそうになった時代があったということを知ってもらえるのも貴重な機会だと思う」と話しました。
映画の舞台となった大阪市立聾唖学校に通っていた男性は「当時、お父さんとお母さんから『口話で』と決められていました。でも聞こえない私は口話が分からないので手話でお話ししていました。
私たちろう者にとって手話は大切です」と話していました。
映画「ヒゲの校長」は随時上映先を募集していて、上映日程などはホームページから確認できます。