尼崎市は平らな地形から自転車を利用する人が多く、これまで危険な運転が問題視されていました。自転車の交通ルールについて改めて考えます。
午前8時。尼崎市・阪急塚口駅の西にある踏み切りです。遮断棒が下り始めているのに、画面手前からはくぐり抜ける人の姿が…。こちらも…。さらには、子どもを乗せた女性まで。
【踏切を利用する人は―】
「電車の本数が多いのですぐ踏切が閉まってしまう。無理な横断をする人が多くて怖いなと思う」
「子どもを送り迎えするお母さんがものすごいスピードで走りはるから。危ない」
この日、遮断機が多く降りる朝の30分間で、踏切での危険行為が数多く確認されました。兵庫県警によりますと、ことし1月から10月末までで、信号無視や遮断踏切への立ち入りなど自転車の違反行為はおよそ3900件摘発されています。
12月2日、兵庫県警尼崎南警察署による自転車の取り締まりが始まりました。この日は、特に交通量が多い国道2号の交差点で、午前11時から午後1時までのおよそ2時間、危険な運転をする自転車を取り締まりました。
取り締まりを始めてすぐ…。女性が、携帯電話で話をしながらの、いわゆる「ながら運転」をしていました。警察がすかさず声を掛けます。
【警察】「携帯したままそれあかんって分かります?」
【女性】「うん、はい」
【警察】「通話しながら乗ったら駄目なんでね」
【女性】「えっ、何がいるん!?」
【警察】「身分証明書だけ。警告だけしますんで」
警察官が記入しているのは、「警告書」と呼ばれる黄色いカード。カードには、信号無視や二人乗り、それに、今回の携帯電話を使用しながらの運転など、禁止とされている行為が書かれています。
【警察】
「今回警告ですけど、何回も繰り返すようでしたら、書いてあるように10万円以下の罰金とかが発生するんで気を付けてください」
カードを受け取った女性は携帯電話を手にしたまま走り去っていきました。
およそ10分後…。歩行者側の信号が赤、車道側の信号が青の場面で横断した女性がいました。
【警察】「信号が点滅していたの気付かれてますか?」
【女性】「いや黄色になってたやろ」
【警察】「黄色?」
【女性】「いや、こっち側(横断する側)が青やったよ」
しかし、この交差点、「自転車歩道通行可」の標識があるため、自転車は歩行者側の信号に従わなければいけません。
【警察】「点滅ということは『もうすぐ赤に変わりますよ』ということなので、しっかり止まっとってもらわないと」
【女性】「はいはい」
【警察】「最近自転車の事故とかも多いので」
【女性】「はいはい」
その後も赤信号を無視して横断していく自転車をいくつも確認。およそ2時間の取り締まりで、10件近くの違反を確認しました。
【尼崎南署 四宮直弥地域交通官】
「尼崎市は坂があまりありませんので自転車を利用する人が多い。自転車も車両になるのでルールを守って運転してほしい」
続いての取り締まり現場は、こちらの交差点です。この交差点、画面の奥から手前に向かって緩やかな下りになっているため、信号を無視して一気に渡りきってしまう人が多いといいます。
すると…。
(警笛)ピピピピピ!
【女性】「降りまーす」
二人乗りのまま交差点を渡ってしまいました。
【警察】「何か持ってる?身分証とか。一回こっち寄ろう」
【男性】「面倒くさい、面倒くさい」
【女性】「急いでる」
【警察】「降りてな?危ないから」
【男性】「分かったからええやろ」
【警察】「じゃあ、すぐ降りて。横断歩道もあるし」
【女性】「分かった!」
年末にかけて交通事故が多くなるこの時期。交通ルールを守るひとりひとりの心掛けが大切です。