姫路市立動物園。世界遺産・姫路城の三の丸広場に隣接し、園内ではおよそ90種類の動物が飼育されていて、1951年の開園から多くの人に親しまれています。
開園の翌年1952年から遊戯施設が設置され、中には半世紀以上現役で来園者を楽しませている遊具もあります。
時代を超えて現在でも子どもたちに大人気の遊具が安全に運用できるよう、維持管理している男性に密着しました。
<開演前 午前8時ごろ>
【姫路市立動物園 運営・保守点検 熊谷俊樹さん】
「大体(開園の)1時間前くらいには来ています。」
-やることが結構ある?
「そうですね、点検・掃除です。」
姫路市立動物園内の遊具の維持・管理をしている熊谷俊樹さん(75)。以前は機械設計の仕事に携わっていて、退職後この仕事に就き、今年で12年目。毎朝開園前の清掃と安全点検を欠かさず行っています。
-今から何をする?
【熊谷さん】
「(遊具が)発車の時は、必ずこれ(ブザー)が鳴るかどうかテストです。試運転です、はい。」
「新幹線」は運用開始から半世紀以上が経過していて、本物をそのまま小さくしたような、本格的な線路を走る、今なお子どもたちに人気の遊具です。
熊谷さんは営業時間中のトラブルを未然に防ぐため、実際に新幹線に乗り込んで、乗り心地に問題がないかや異音がしないかなどチェックします。
-きょうも異常なし?
【熊谷さん】
「はい、異常なしです。」
姫路城が一望できるため大人にも人気の観覧車。ゴンドラに屋根がなく、開放感あふれる景色を楽しむことができます。
安全第一に。熊谷さんは厳しい表情で入念に点検していきます。
【熊谷さん】
「もちろん異音がしないか、回転がスムーズか、モーターが焼けたようになってないか。それから強度に影響するようなさびがないか、(点検項目は)そういうところです。」
動力となるチェーンやゴンドラの軸に、動きを滑らかにするため、ひとつひとつ手作業で油を塗っていきます。
【熊谷さん】
「ちょっと音がおかしいなって思ったらやる。月に1回はやりますけど。やっぱり古いものですからね、気を付けてないと。」
-これだけてをかけてあげると愛着も
「そうですね、自分も年寄りですからお互い様なんで。」
<開演 午前9時>
安全が確認された遊具。活躍の時がやってきました。
【熊谷さん】
「3回まわりま~す」
新幹線は子どもたちを乗せて、力強く走ります。
【来園者は―】
「孫連れては何回も乗ってます。安全とかその辺はわかっているんで遊ばせやすいですね。」
「メンテナンス続けてほしいですね。古いものはどんどん無くなっていくからね。孫の代にも引き継ができる乗り物ってなかなか無いですから。」
観覧車も大盛況。子どもたちは少し怖がりながらも興味津々で乗り込みます。
【子どもたち】
「怖かった。」「楽しかった。」
【来園者は―】
「何十年ぶりかに乗りました。私の小さい時にもここ来ていました。近くなのでぜんぜん変わってないですね。」
「レトロ感がまたいい味を出していていいんじゃないかなと。」
「すごいお城がきれいに見えたんでよかったです。」
-こうやって子どもと接していると楽しい?
【熊谷さん】
「そうですね、一番癒されますね。みんなニコニコして乗ってくれますから。
『面白かった』『楽しかった』ってみんな言ってくれます。」
-今後どんな場所にしたい?
「今まで通り子どもさんが(遊具の)初体験の場になると思うので、印象に残るような所にしたいと思います。」
半世紀以上、来園者に愛され続ける姫路市立動物園の遊具。熊谷さんたちスタッフの手によって、これからも新しい笑顔を生み続けます。
【熊谷さん】
「出発進行!」